金沢21世紀美術館から徒歩30歩! の木漏れ日のカフェ「古都美カフェ」

21世紀美術館に隣接する古都美カフェは、珍しい真空管のオーディオシステムから流れる音楽や鉄瓶で淹れた棒茶の香りも心地いい、木立に囲まれた隠れ家のようなカフェだ。

和と洋、ふたつの表情を持つ「古都美カフェ」

金沢の中心部・広坂通から21世紀美術館を抜ける小道の脇に立つ「古都美カフェ」には二つの顔がある。バス停「広坂」から臨めば柔らかく日差しを遮る格子戸と白いのれんの和の顔。しっとりとした雰囲気の古都金沢になじむ表情がこちら。一方、21世紀美術館から臨めば、純白のエントランスと木立、建物に絡まるツタが洋館の雰囲気を漂わせる洋の顔。

隠れ家を思わせる狭めの階段を上がった先が「古都美カフェ」だ。階段を上がりドアをくぐれば、階段とは一転、明るいカフェが待ち構えている。

北欧のヴィンテージ家具を基調として、ゆったりとスペースをとった席はスタイリッシュかつ優しい心地よさを感じる。

 

 

店内の明るさは、壁の2面がガラス張りの窓になっているため。ほぼ天井まで届く窓からは、21世紀美術館も広坂通りも、通りの向こうのしいのき迎賓館や兼六園までを見通すことができる抜群のロケーションで、春には広坂通りの桜並木も一望でき、木立に青々と葉が茂る季節には、木漏れ日が柔らかく差し込んでくる心地よさ。

5席と少なめの席は「一人ひとりのお客様がゆっくりと心からくつろいでいただくため」だそうで、景色もスイーツも存分に楽しめるよう配慮されている。

眼下に咲き誇る桜を眺めながらのカフェタイムは格別。

 

 

 

金沢の豊かな季節の移ろいをふんだんにメニューに取り入れる

古都美カフェでは年に56回、新メニューが加わる。

これは、四季の美しさや、古くから伝えられてきた季節の行事を大切にする金沢をはじめとした石川県民の文化性をスイーツを通して感じてもらいたいからだという。

春を迎えるこれからの季節、今年のおすすめは「桜のフロマージュ」(460)と「桜ラテ」(650)

桜のフロマージュに使われているのは、コクのあるイタリア産のマスカルポーネ。華やかでほろ苦い桜の香りとの相性は抜群。飲み物は、古都美こだわりのコーヒーを選んで濃厚さを楽しむのもよし、加賀棒茶のさわやかな香ばしさを満喫するのもよしだ。

春限定の桜のフロマージュ(460)。ソースにも使われる桜がマスカルポーネのコクを引き立てている。

 

 

こちらも季節限定の桜のラテ(650)。純白の器、純白のミルクの泡の上に散らされた桜パウダーと桜の花がかわいらしい。

 

 

一年中食べられるメニューのイチオシなら「プティ・フールセット」(1,150)

ロールケーキとアイスクリーム、ダックワーズの3種類のスイーツは、どれも加賀棒茶がふんだんに使われたオリジナルで、これに6種類から選べるドリンクが付く。「加賀棒茶満喫セット」と呼びたいくらいに棒茶を堪能できるセットだ。

冬季は、ダックワーズが加賀棒茶のパウンドケーキに変わる。同じ棒茶でもスイーツごとに別の味わいだから、どちらもぜひ味わって!

 

 

ドリンクのおすすめは鉄瓶で提供される加賀棒茶(550)。タンニンの少ない棒茶と鉄瓶の相性はよく、香り高さに加えてまろやかさも味わえる上、たっぷり2杯は楽しめるのもうれしい。

古都美カフェで使用している棒茶は、創業文久3(1863)年の加賀市にある丸八製茶場の「献上加賀棒茶」。一番摘みの茎を遠赤外線の輻射熱によって、表面を焦がすことなく芯から浅く焙じたもので、地元はもちろん県外にも愛飲者が多い人気のお茶だ。

棒茶の香り高さやさわやかな味わいはもちろん、ころんとした鉄瓶のフォルムのかわいらしさが写真映えする。

 

 

 

菓子を通して金沢のよさを思い出してもらいたい

カフェの階下は古都美自慢のスイーツショップ。カフェで提供されるものとは違った菓子が並ぶ。

カフェスイーツ同様、季節や土地柄にこだわり、器やパッケージも厳選した菓子が収められたガラスケースは、まるで伝統工芸品が並んでいるような端正ささえ感じさせる。

こちらも季節ごとに新しい菓子に出会えるので、何度でも足を運びたくなることまちがいなし。

スタッフの稲垣翔吾さんは「たとえばカフェでお友達とおしゃべりしながら過ごした時間。あるいは金沢に旅行に訪れた方が自宅に戻られてから。そんな時に、古都美の菓子を通して、その楽しさをもう一度思い出して、感じてもらいたいと思っています。また食べたくなる味、また来たくなる居心地のいい店、そう言っていただけるように、日々お客様と接しています」と話してくれた。

真っ白なのれんや壁に描かれているのは金沢の郷土玩具「加賀起き上がり人形」をイメージした古都美のロゴ。格子戸をイメージしたストライプも季節感や郷土を大切に思う古都美らしい。

 

 

そんな稲垣さんが一番好きな土産の菓子をたずねると「どれも好きなんですよ」と笑顔で前置きをしながら「古都の菓」(1,188)だと教えてくれた。

古都の菓は、金沢城の石垣をイメージした6種類の味が楽しめるクッキー。味は石川の特産品から梅、小豆、紫芋、棒茶、醤油、白味噌の6種類。ほろほろと口の中でほどける食感は、稲垣さんには「初めての食感!」だったのだとか。

他にも和洋スイーツが絶妙に折衷した白あんケーキの「ことみん」(5個入り1,296)など、かわいらしくも味わい深い菓子が多数そろっている。

6つの色は金沢の名所を表現しているのだそうだ。どこをイメージしているかは、スタッフに直接尋ねてみよう。忙しい時間でなければ、会話も弾むはず。

 

 

 

 

 

※価格はすべて税込み

 

取材日時20191219

 

取材・文 小杉智美

店舗情報

店舗名 古都美カフェ
住所 金沢市広坂1丁目2-27
電話番号 076-222-5103
営業時間 11:00〜18:00(LO 17:30)
定休日 月曜(祝日の場合、翌平日休み)