かわいい顔したガチなカフェ。五感で楽しむ「エスプレッソバー ケサランパサラン」かわいい顔したガチなカフェ。五感で楽しむ「エスプレッソバー ケサランパサラン」

かつては加賀百万石のお殿様の庭だった兼六園からは徒歩7分、犀川までは徒歩3分の新竪町商店街の中。ケサランパサランはそんな、加賀文化香る場所にある。アメリカンカートゥーンに出てきそうなチーズケーキのルックスが評判だけれど、カフェの本場・メルボルンのスタイルを汲む本格エスプレッソバーだ。

すべてがフォトジェニック

「チーズみたいなチーズケーキ」はケサランパサランの看板メニューのひとつ。不規則に穴の開いたフォルムのチーズは、猫とネズミが追いかけっこをするアメリカンカートゥーンで見たことがあるのではないだろうか。
それをチーズケーキで再現したのが「チーズみたいなチーズケーキ」だ。
つい、見た目のかわいらしさに目が行くが、研究と改良を重ねた味わいは、カスタードのような滑らかな口当たりと、ヨーグルトや柑橘の爽やかな酸味を忍ばせたさっぱり感が特徴で、決して小さくないサイズながら、いくつでも食べられそうな軽やかさ。
チーズアイと呼ばれる穴は、一つひとつ手作業で加えるという手の込みようだ。

 

 

 

ケサパサのチーズケーキ(650円)。店内食やテイクアウトはもちろん、オンラインショップからも購入できる

 

「見た目にインパクトがある商品は、中身のクオリティがもっと大切」というポリシーのもとに作られるメニューは、どれも日々進化している。
中には2019年のオープンからすでに3回もリニューアルしたものもあるとか。そんな熱心で旺盛な研究心から生まれる数々のスイーツは、どれも見て楽しく、食べておいしく、1度で何回もうれしさやヨロコビが押し寄せるものばかり。

 

「エスプレッソバーのこだわりティラミス(550円)」は、ころんとしたフォルムと季節ごとに変わるフレーバーが楽しみな一品

 

 

味にも見た目にもこだわるスイーツに注目が集まりすぎて、意外に知られていないのが、しっかりとお腹を満たすフードメニュー。
とはいえ、朝7時30分から営業しているケサランパサランには、朝食の常連も数多い。

 

 

アボカドエッグクロワッサン(900円)も最近、進化したメニューのひとつ。サンドメーカーで焼いたサクサクのクロワッサンとアボカドに、ポーチドエッグのとろり感がたまらない

 

 

メルボルンスタイルのエスプレッソバー

ケサランパサランの誕生は、オーナー夫妻がワーキングホリデーという留学制度を利用してオーストラリアの都市・メルボルンを訪れたことがきっかけ。
メルボルンは世界的にも有名なカフェのまち。広島県と同じくらいの面積に約2万軒ものカフェが点在し、古くから人々の生活と深く結びついているのだという。

 

 

1階はカウンター席。海外の雰囲気漂うカフェであり、バーのようでもある落ち着ける空間。テーブル席のある2階はモダンな美術館のよう。

 

 

「そこで、コーヒーのおいしさとコーヒー文化の奥深さ、人々とカフェの関わりなどに衝撃を受けて、いつか自分たちもそんな店をやりたいと思うようになったのです」そう話すのは夫の山口綜士さん。
一番のこだわりはもちろんエスプレッソ(ショートブラック450円/ロングブラック500円)。その時々で変わるスペシャルティ豆とケサランパサランオリジナルのブレンド豆から選ぶことができるのは、金沢では珍しい。

 

 

濃厚なエスプレッソにきめ細かく泡立てたミルクを注いだ「フラットホワイト(550円)」は、オーストラリアでは定番の一品。クリーミーな口当たりと濃厚なエスプレッソの香りと味わいを楽しめる

 

 

 

メルボルンスタイルのカフェとはどんなものか、と尋ねると、コーヒーが日常に深く結びついていること、多くの人が自分の好みを持っていること、そのため一人ひとりに合わせたカスタムが豊富で柔軟なことなど、いろいろなことを話してくれた。
「店舗の空間やサービス、音楽まですべてを含めてコーヒーの味わいなのです。僕たちが衝撃を受けた、そんな素敵なコーヒー文化を金沢の人にも知ってもらいたいと思っています」

 

 

泡立てたミルクが特徴のカプチーノはアイスで味わうのもGOOD。エスプレッソの苦みにミルクのやさしい甘みが交わって、ふんわりとした飲み心地。「アイスカプチーノ(500円)」

 

 

店の外でもケサランパサラン

ケサランパサランでは、テイクアウトとはちょっと違う「店の外でケサランパサランを楽しむ」提案をしている。(もちろん多くの商品はテイクアウトもOK!)
それがレンタルピクニックだ。
おしゃれな藤カゴとレジャーシート、ミニテーブルとスツール、カットボードやドライフラワー、Bluetoothスピーカーが一式でレンタルできる。これにアーモンドクロワッサンとコーヒーかジュースがプラスされる。(要予約。一式2500円+飲食物500円/人)
あとは、好きなケーキを追加オーダーするもよし、魅力的な店舗が多い新竪町を巡って好きなものを買っていくもよし。

 

 

一番のおすすめは、店から徒歩3分の犀川。店主夫妻もお気に入りのスポットだという

 

 

ところで。ケサランパサランは10月1日に新店舗をオープンした。
場所は店から徒歩3分。
「ハングリークッキーズ」というクッキー専門店だ。
大き目サイズのアメリカンクッキーを中心に、さまざまなバリエーションのクッキーの提供を計画中だというう。イートインも可能だが、「ご自身で食べるためはもちろん、お客様の大切な人にも喜んでもらいたい、日頃の感謝や好きな人への気持ちを伝えるきっかけにしてもらえたらうれしい」と話す。
店名は、夫妻がメルボルンにいたころに使っていたInstagramのIDが由来なのだとか。ケサランパサランでおいしいエスプレッソとケーキを楽しみ、ハングリークッキーズでお土産を調達して、ついでに犀川河畔を散歩する。
そんな素敵な時間が過ごせそうだ。

 

 

ロゴマスコットはクォッカワラビー。ワーキングホリデー時代、人懐っこくてかわいらしい姿に癒されたという

 

Instagram https://www.instagram.com/kesaranpasaran_cafe/

 

※価格はすべて税込み

取材日時 2024年8月27日

取材・文 小杉智美

 

店舗情報

店舗名 Espresso Bar ケサランパサラン
住所 金沢市新竪町3丁目17-3
電話番号 076-250-5053
営業時間 8:30~17:00(L.O 16:30)
定休日 月、金