金沢21世紀美術館に隣接する「金澤ななほしカレー」を食べて、キレイに、健康になる
「金澤ななほしカレー」は、金沢21世紀美術館に隣接し、百万石通りを見下ろすロケーシ ョン抜群のビルの2階。階段をあがり扉を開けると、スパイシーな香りに食欲が刺激される。
がっつり系金沢カレーとは一線を画す金澤カレー
金沢でカレーと言えば、濃厚なルーにソースのかかったカツが乗った、いわゆる「がっつ
り系」カレーが有名だろう。部活動帰りの男子高校生が並んでかき込んでいるようなイメ
ージか。
対して金澤ななほしカレーは、圧倒的に女性客が多いのだという。
店内は、北欧と和のインテリアがセンス良く配されたおしゃれなカフェ風。大きな窓から
は香林坊交差点と兼六園を結ぶ百万石通りが見下ろされ、ロケーションもいい。
この空間も女性人気の理由のひとつだろう。
百万石通りを挟んだ向かい側は、1924年に建設されたしいのき迎賓館。シンボルの樹齢約
300年の堂形のシイノキも店内から一望できる。
言うまでもなく、一番の魅力は金澤ななほしカレーでしか食べられないカレーそのもの。
金澤ななほしカレーは、油と砂糖、小麦粉を一切使用していないのが最大の特徴。
チキンカレー、ビーフカレーは、肉の持つ油分、豆カレーはローストしたカシューナッツ
とクルミのペーストが油分代わり。甘みとコクは、細かく刻んでじっくり加熱した野菜と
果物が担い、とろみは米粉によるもの。塩分やオリジナルのガラムマサラの辛みは控え
めに仕上げてある。
これによって、うまみが凝縮していながらもヘルシーで胃もたれしない、さらには栄養バ
ランスのいい、やさしいカレーが実現している。
中でも豆カレーは、動物性タンパク質はもちろん、ネギ、ニンニク、ニラ、らっきょう、
あさつきも使用していない。これは、五葷(ごくん)と呼ばれるもので、特殊なベジタリアンや宗教の食習慣にも対応するためだ。
おいしさと健康がぎゅっと詰まった金澤ななほしカレー。写真上が豆カレー。下がセットメニューの2種盛りで、左がチキン、右がビーフ。
セットで頼めば、栄養バランスはより完璧に近づく
カレー単品で食べても栄養バランスのいい金澤ななほしカレーだが、セット(1,000円)
にすると味わいも栄養バランスもよりアップする。
セットのオーダーの仕方は3ステップ。
1.ご飯のサイズを選択
レギュラー(200g)、大盛り(300g/+100円)、小盛り(150g/-100円)から選ぶ。
2.カレーを選択
チキン、ビーフ(+200円)、豆ときまぐれカレー(2種)から好みのものを2種類選ぶ。
3.トッピングを選ぶ
温泉玉子、モッツァレラチーズ、レーズン&ナッツ、フライドオニオン、スパイシーパンチ(小さじ1/2)の5種類から2種類選ぶ。
これで、量も味も自分好みの金澤カレーができあがる。
ちなみにスパイシーパンチというのは、オリジナルの辛み調味料。やさしいカレーにパンチが欲しい人は、さらに追加も可能(+100~300円)。
選んだトッピングによってさらに味わいが変わる。いろいろ試して、自分だけの組み合わせを見つけるのも楽しい。
金澤ななほしカレーセットには、これにプラスしてナッツミルクスープ、オリジナル和風ピクルス、本日のデザートがつく。
これは、煮込み料理であるカレーではどうしても不足しがちな酵素やビタミンを補うよう計算されているのだという。
また、ナッツミルクスープは、そのまま飲むだけでなく、カレーに混ぜれば辛みをマイルドにするという役割もあるので、辛いのが苦手な人や途中で味に変化が欲しいという人は、飲み干さずにカレーに混ぜてみるのもお楽しみのひとつ。
20代から研究を続けるカレーは、これからも進化する
店主の西橋俊光さんがカレーを作るようになったきっかけは「おいしいと評判のカレー店で食べたカレーに納得がいかなかったから」なのだとか。当時20代で、商社の営業マンとしてバリバリ働いていた頃だ。
店内の中央に掲げられている黒板には、使われている材料や作り方のポイントなど、金澤ななほしカレーのこだわりが描き出されている。
通称「赤玉」「緑玉」と呼ばれる2種類の野菜と果物のペースト。2種類の絶妙な配合が味の決め手。
「仕事柄、食事はさっと食べられるものが多く、中でもカレーは昼夜ともよく食べるメニューだった」という西橋さん。もともと食べることが好きで外食で気に入ったものを自宅で再現することも多かった料理好きでもあった。
日本人の国民食とまで言われるカレー。手軽でおいしいのはいいのだが、体調や食べる時間帯によっては胃もたれしたり、仕事のコンディションに影響することもあったという。
「さまざまな食材を使うカレーなら、完璧な栄養バランスで作ることができる。さっと食べられて、もっとおいしく、毎日食べても健康でいられる食べ物にできるはず!」と感じたことでカレー研究が始まった。
「おいしくて健康になる」食事という考え方のルーツはお母様の手料理にあるのだという。
そして20年余、たどり着いたのが金澤ななほしカレーだ。
この中には、西橋さんの20代の頃から改良を続ける独自のレシピをはじめ、カナダのレストランで働いた経験や、アジアをはじめ海外を訪れた際に食べたもの、イタリアやギリシャ、中華料理など、世界中の料理や調理法から発想を得た工夫がぎゅっと詰まっているのだ。
「金澤×食×伝統工芸」がコラボした一日7食限定の「金澤美粋なKOGEIカレーセット」(2,500円)。九谷焼作家の赤地径氏が描いた7柄のカレー皿が美しい。デザートもこのセットだけのスペシャル。
冷凍カレーで全国へ。夢はコペンハーゲンへの出店
3周年を迎えて、西橋さんのこだわりがいっぱいに詰まったカレーを家庭でも味わえる冷凍カレーも販売。
真空急速冷凍による冷凍カレーにしたのは、レトルトだとどうしても店で出しているものと味や風味が変わってしまうからという、ここにも大いなるこだわりが込められている。
冷凍カレーの販売は、もちろん県外にもたくさんいる金澤ななほしカレーファンからの熱いラブコールがあったからというのも理由のひとつだが、県外出店の先鋒的役割もあるのだという。
ネット販売限定の冷凍カレー。湯煎するだけでお店と同じ味を家庭で堪能できる。
金沢市役所と金沢21世紀美術館のすぐそばという、金沢の中心に出店したときからの西橋さんの夢は「世界で一番金沢らしい『金澤カレー』を全国はもとより世界中の人に味わってもらうこと」。
最終目的地は、デンマークのコペンハーゲンなのだそうだ。
なぜデンマーク? とたずねると、「伝統を大切にしながら進取の気風もあって、ものの本質的な良さを大切にする」気質が金沢とデンマークのある北欧とで似ていると感じているからと話してくれた。西橋さん自身、大好きなまちでもあるのだとか。
「もちろんカレーはこれで完成ではなく、もっとおいしく、もっと体にいいものを研究し続けていく」と話す瞳は、今後の金澤ななほしカレーの進化が待ちきれなくなるほどに輝いていた。
※価格はすべて税別
取材日時2019年5月12日
取材・文 小杉智美
店舗情報
店舗名 | 金澤ななほしカレー |
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住所 | 金沢市広坂1-2-18 中村ビル2階 |
電話番号 | 076-232-5707 |
営業時間 | 11:00~19:30(平日15:00~17:00中休み) |
定休日 | 月曜日 |