「香林坊」バス停前にある大和香林坊店5階の一角に佇むカフェ。店内は白を基調にしたシンプルでナチュラルな雰囲気で、オレンジ色のライトが心を和ませてくれ、買い物で疲れた時に休むのにもぴったり。

カフェで麩のいろいろな食べ方を知ってほしい

不室屋は、慶応元年（1865年）の創業以来150年以上にわたり、創業当時の製法・味・技を伝承しながら、一貫して加賀麩を作り続けている老舗。一方で伝統の加賀麩の魅力をより多くの人に知ってほしいと、近年のライフスタイルに合わせてカフェを4店舗（金沢市2店舗、富山市1店舗、東京都1店舗）展開している。

シンプルで明るい店内。落ち着いた雰囲気なので老若男女問わずくつろげる。

地元の人でも意外に知らない新しい麩の食べ方やカフェに込められた想いについて、吉野敏矢さん（営業担当）が熱く語る。

「金沢では麩と言えば、治部煮や卵とじ、お吸い物の具といった使い方が一般的だが、それ以外にももっと麩は料理に使えることや、麩が甘味にもなることをより多くの人に知ってほしい」。そういった思いから若い世代の人にも気軽に入って食べてもらえるカフェを運営しているという。

開放的な大きな窓から見える隣のいしかわ四高記念公園の木々の緑がとても綺麗で見晴らしがいい。

一口に麩と言っても種類は多く、調理法によっては肉のような食感にもなるという。FUMUROYA CAFÉのメニューにも「車麩のカツレツランチ」や「麩入りつくねハンバーグランチ」など、いかにもボリューミーなものがある。

甘味メニューも「麩あんみつ」「生麩ぜんざい」「生麩まんじゅう」など、ほとんどに「麩」の文字が。それぞれどんな味や食感なのか。早く味わってみたいと期待がふくらむ。

麩の魅力を存分に味わえる「ふやき御汁弁当」

麩のいろいろな食べ方を存分に味わうなら「ふやき御汁弁当（1,566円）」がおすすめ。具だくさんの「ふやき五色汁」や「治部煮」など、さまざまに調理された麩料理が味わえる見た目も華やかなランチメニューだ。

写真中央の白い器に入った「生麩のしぐれ煮」はほんのりときいた生姜の風味がご飯にもよく合う。カフェでの単品提供や販売はしていないが、地下1階の不室屋で購入可能。

「ふやき五色汁」は色とりどりの麩や根菜類を中心に野菜がたっぷり入った具だくさんの汁物。

「金沢で食べたい料理」として観光客人気も高まっている「治部煮」は、加賀麩を代表するすだれ麩ととろりとした出汁が特徴の加賀料理。

四角い弁当箱には手の込んだ料理が12種類も詰められており、盛り付けも美しい。

「つくね麩」は言われなければ麩で作られているとは気が付かないくらい肉の食感に近く、小さなピンク色の「揚げ花麩」はサクサクとした食感が楽しく、小さなおかずだがとても存在感がある。

他にも木の芽味噌を塗った「南瓜生麩田楽」、「生麩のフライ」などまさに麩づくしだ。

ヘルシーでありながら、しっかりとした味つけで食感もそれぞれに違いがあるので、お腹も心もたっぷり満たされる。

※「ふやき御汁弁当」は時期によって内容が変わります

もちもちの白玉麩が入った「麩あんみつ」

甘味のおすすめは「麩あんみつ（810円）」。色とりどりの麩やフルーツが塗りの器に盛られている様はとても涼やかで、暑い季節にもピッタリだ。

人気の「麩あんみつ」。もちもち食感の「白玉麩」がおいしい。

「白玉麩」は実は麩が使用されていており、白玉と餅の中間くらいのもちもちな食感で思わず笑みがこぼれる。この食感は、カフェでしか味わえないので要チェック！

黒蜜をかけていただくが甘さは控えめ。こしあんと麩やフルーツ、寒天のバランスもよく、ランチを食べた後にもかかわらず、ペロッと完食してしまった。

カフェで食べた麩は地下1階のお店でも購入できる

カフェの店頭ではお土産用の商品として「ふやき御汁　宝の麩」や「おやつ麩」などが販売されている。

ふやきの中央に穴を開け、お湯を注ぐと中から色とりどりの麩や野菜が溢れ出す「宝の麩」。

※「青かえで」は4月中旬～5月の販売です

吉野さんもお気に入りだというおやつ麩は、ほんのり甘い味のスナック風麩菓子。サクサクとした軽い食感は、他にないおいしさ。

地下1階の店舗ではチーズ味とカレー味も販売している。

家でもカフェと同じものを食べたい、普段の料理に麩をもっと取り入れたい。

そんな方には同じ大和香林坊店の地下1階の食品売り場にある「不室屋　香林坊大和店」がおすすめだ。

カフェで食べた大きなふやき五色汁や治部煮、生麩のしぐれ煮、つくね麩はここで購入できる。もちろん食材としての麩も多数並ぶ。治部煮の中に入っていたすだれ麩や金沢おでんで人気の車麩、もっちり食感の生麩、彩りや形も華やかな彩り麩など、見ているだけでも楽しくなってくる麩がいっぱい。

不室屋の歴史とレシピが載った記念誌も販売されているので、それを参考にするのもいいだろう。

カフェの店頭にはスコーンやマフィンなどカフェでのみ購入できる商品もある。

不室屋では、麩の新しい魅力の発信に力をいれており、新メニューやそれに合わせた麩の開発は常に続けているという。これからまたどんな麩の食べ方に出会えるかも楽しみだ。

FUMUROYA CAFÉでぜひ新たな麩の世界を味わってみてほしい。

※価格はすべて税込み

取材日時2019年5月7日

取材・文　小杉智美

店舗情報

店舗名	FUMUROYA CAFÉ　香林坊大和店
住所	金沢市香林坊1-1-1　大和香林坊店　5F
電話番号	076-220-1452
営業時間	10:00～19:30（19：00LO）
定休日	大和香林坊店に準じる