加賀藩に招かれたキリシタン大名・高山右近とその足跡をめぐる金沢マニアック旅

高山右近といえば、戦国時代に人生のほぼ全てをキリスト教に捧げた、最も有名なキリシタン大名。高槻城(現在の大阪)の城主で、織田信長や豊臣秀吉に仕えた武将なのですが、1587年(天正15年)に豊臣秀吉による「バテレン追放令」により追放されてしまいます。そんな高山右近を迎え入れたのが、加賀藩の初代藩主・前田利家です。 キリシタン大名として有名な高山右近ですが、武将としての才にも長けていて、加賀藩に客人として迎えられてからは、金沢城の修築、高岡城築城、惣構の築造など金沢の町づくりにも大きく関わっているのです。 戦国大名でありながらキリシタン大名として激動の生涯を送った高山右近、そんな彼が26年過ごした金沢のゆかりの地を巡ります。

昼からスタート

からスタートafternoon start!

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    【11:10】金沢駅スタート

    【11:10】金沢駅スタート

    旅の起点は金沢の玄関口・金沢駅から。土日祝日は5番乗り場にある、100円でまちなかへ行けるまちバスがお得で便利です。金沢の街を歩きまくるので早めにお昼ご飯を食べて活力満点で向かいましょう♪

    • 金沢駅から約10分、「南町・尾山神社」バス停で下車します。

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    【11:30】料亭大友楼の茶室一井庵でいただくお弁当ランチ

    【11:30】料亭大友楼の茶室一井庵でいただくお弁当ランチ

    「南町・尾山神社」バス停から徒歩1分、創業は天保元年(1830)創業の超老舗料亭・大友楼に到着。金沢で知らない人はいないであろう一流料亭。加賀藩の御膳所御料理方を務めてきた歴史ある料亭で完全予約制。おいそれとは足を踏み込めない感じではありますが、予約がなくても休憩してもらえるような場所を作ろうとこれまで一般に公開されていなかった茶室で甘味や、お弁当ランチがいただけるのです。(弁当は要予約)

    • お昼はちょっと贅沢に料亭大友楼の茶室・一井庵でいただきます。 約250年前に建てられたという由緒ある茶室。

    • 目の前には美しい庭。 金沢の街中にあるとは思えない静かな場所です。

    • 庭を眺めながらお昼ご飯をいただくというなんとも贅沢な雰囲気を味わえます。 こちらは「半月弁当」(2,420円・税込)。 ご飯には、石川土産としても有名な珍味「ふぐの粕漬け」がふりかけのようにまぶされていて、塩気が食欲をそそります。季節のお野菜や石川の食材を使った料理はどれも1品1品丁寧に味付けされ、どれも美味しくまさに至福の時。

    • お弁当と治部煮は前日までに予約が必要です。 甘味は予約なしでもいただけますよ。 <一井庵(大友楼茶室)> ◯ 金沢市尾山町2−32 ◯ 11:00~16:00 ◯ 水曜日定休

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    【13:00】尾山神社前に残る西内惣構跡

    【13:00】尾山神社前に残る西内惣構跡

    大友楼を出て徒歩3分、尾山神社に到着。 「惣構(そうがまえ)」とは、城下町を囲い込んだ堀や、土を盛り上げて造った土居土などの城の防御施設のことです。金沢では内と外と2重の惣構が造られました。内惣構は、高山右近によって造られました。

    • 尾山神社の鳥居前にある水路は、1599(慶長4)年頃に、高山右近が造った「西内惣構」の一部。明治以降は水路が埋められたり暗渠になったりしたのですが、ここは水路の一部を見ることができます。

    • 用水の位置は変えられてないそうで、現存する石積みもできる限り保存されているとのこと。 高山右近が生きていた時代から流れる水路。そう思うと遥かな歴史のロマンが感じられますね。

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    【13:30】右近の聖遺物がある「カトリック金沢教会」

    【13:30】右近の聖遺物がある「カトリック金沢教会」

    大友楼から徒歩10分。しいのき迎賓館や金沢21世紀美術館の近くにある「カトリック金沢協会」へ。ここは1888(明治21)年に創立された100年以上の歴史ある協会。1587年(天正15年)の「伴天連(バテレン)追放令」により、1588(天正16)年に高山右近が加賀藩にやってきた300年後に建てられているんですよ。

    • カトリック金沢協会の入り口前にある高山右近の銅像。

    • 足元には、高山右近の屋敷にあったと言われている「南坊石」と呼ばれる戸室石があります。 右近の茶人としての号が「南坊」なので「南坊石」と呼ばれているらしい。

    • カトリック金沢協会には、高山右近を紹介するパネルや資料もたくさんあります。 隣には幼稚園があり、信者の方が来られる場所でもあるので、迷惑にならないように見学させてもらいましょう。

    • 祭壇側には高山右近や細川ガラシャを描いたステンドグラスがあります。 向かって右から、高山右近、聖テレジア、聖フランシスコ・ザビエル、細川ガラシャです。

    • 高山右近は、2016年にバチカンにて、正式に「福者」としてローマ法王に認められます。「福者」とは、カトリック教会において崇敬の最高位の「聖人」に次ぐ称号でけっこう凄いことなんです。 それを記念してここカトリック金沢協会にも、高山右近の聖遺物が贈られ、この祭壇に祀られています。 高山右近の洗礼名は「Justo(ジュストorユスト)」、正義の人という意味です。大名の地位を捨ててまでキリスト教の信仰を貫いた右近の人柄が偲ばれる洗礼名ですね。

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    【14:10】高山右近屋敷跡(金沢21世紀美術館〜石川県立美術館)

    【14:10】高山右近屋敷跡(金沢21世紀美術館〜石川県立美術館)

    カトリック金沢教会のあとは、徒歩3分ほどで金沢21世紀美術館へ。言わずと知れた金沢を代表する観光スポットでもありますが、現在の金沢21世紀美術館周辺か石川県立美術館周辺に高山右近の屋敷があったと言われているんです。

    • 金沢21世紀美術館から石川県立美術館周辺ということなので、中村記念美術館裏の「歴史の小径」を歩きましょう。徒歩約5分で「歴史の小径」の入り口に到着。 「歴史の小径」は、石川県立美術館の裏手、かつては本多家上屋敷があった場所へと続いています。

    • 「歴史の小径」は、江戸時代、加賀藩筆頭家老の本多家の上屋敷と中屋敷をつなぐ坂道。つまり江戸時代には実際にこの坂道を加賀藩の武士たちが通っていたかもしれないん坂道。もしかしたら高山右近も通っていたかもしれないと思うとワクワクします。 「歴史の小径」は夜間および、冬季は閉鎖されます。

    • 坂を登ったところに「右近の屋敷跡」の看板がありました。 右近の屋敷跡が本多家の屋敷となり、現在は美術館になっているんですねぇ。

    • 石川県立美術館の裏、「ル・ミュゼ・ドゥ・アッシュ」のガラス窓があるあたりに出ますよ。 「歴史の小径」を通ると徒歩約3分ほどで石川県立美術館裏に出ますよ。

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    【14:30】旧津田玄蕃邸〜兼六園

    【14:30】旧津田玄蕃邸〜兼六園

    石川県立美術館まで上ってきたので、向かいにある「旧津田玄蕃邸」も見ておきましょう。「旧津田玄蕃邸」は、加賀藩の重臣・津田正勝の屋敷跡です。津田正勝とそのご夫人・海津夫人は右近の影響でキリシタンとなった人です。

    • 「旧津田玄蕃邸」は現在は兼六園の管理事務所になっていて、残念ながら内部の見学はできません。入り口と庭の見学はできますよ。

    • 「旧津田玄蕃邸」の庭には、兼六園の初代・虹橋(ことじ灯籠の前に架かる橋)があります。おそらく庭にあったこれが初代虹橋かなと。 初代のことじ灯籠も保管されてるそうですが、庭には置いてなさそうでした。

    • となるとやはり兼六園のことじ灯籠は見ておきたいですね。 手前に架かる橋が虹橋です。みなさんよくこの橋の上に立って記念撮影されてますね。

    • 続いて石川門へ。 やはり兼六園まできたら、石川門も見ておきたいですね。 <兼六園> ◯ [3月1日~10月15日]7:00~18:00(退園時間)、[10月16日~2月末日]8:00~17:00(退園時間) ◯ 無休 ◯ 大人320円、6歳以上18歳未満100円、65歳以上無料

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    【15:30】江戸時代にクリスマス会が開かれた!?切支丹寺(南蛮寺)跡

    【15:30】江戸時代にクリスマス会が開かれた!?切支丹寺(南蛮寺)跡

    兼六園を出て今夜坂を降った先にある切支丹寺跡までは徒歩約3分。現在の兼六園下バス停側の紺谷坂近くには、切支丹寺があったそうです。切支丹寺はいわゆるキリスト教会のことですね。南蛮寺とも言います。

    • 石川門側の兼六園へと上る坂道は「紺谷坂」と言います。 土産物屋さんや飲食店が立ち並んでいます。

    • 紺谷坂に隣接する場所に、右近により「切支丹寺(南蛮寺)」が建てられたそうです。 切支丹寺跡の看板は、金沢城の下、白鳥路の入り口近くにあります。

    • 古地図にも「切支丹屋敷」の表記が。1608(慶長13)年には、ここ切支丹寺で右近をホスト役に盛大なクリスマス会、今で言うならクリスマスパーティーが行われていたんですよ。 高らかに讃美歌が歌われ、ミサが行われ、御馳走も用意されていたとか…… ちなみに金沢の伝統料理「鴨の治部煮」、これも右近が伝えた西洋料理が元になっているとかなんとか……という言い伝えもあります。 もしかしたら右近主催のクリスマスパーティにも出されていたのかも!?

    • いったいどんな光景だったのか、タイムマシンがあったら見に行ってみたいものですねぇ。 切支丹寺跡の看板の前には、高山右近を加賀藩に招いた前田利家公の銅像があります。

    • 白鳥路を通って、金沢城大手門方向へ。 白鳥路ホテル山楽でティータイムです。

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    【15:50】ステンドグラスが美しい白鳥路ホテル山楽のティラウンジ

    【15:50】ステンドグラスが美しい白鳥路ホテル山楽のティラウンジ

    白鳥路を通って徒歩約5分。金沢城の大手門そばにある「金沢白鳥路ホテル山楽」へ。1階にあるティーラウンジは是非訪れたい素敵な場所なんです。

    • ここは高山右近と直接関係はないのですが、ホテル山楽のティーラウンジは大正ロマン漂う瀟洒な空間です。 重厚感ある造りに、赤絨毯、そして美しいステンドグラスに囲まれるというなんとも贅沢な空間。

    • 非日常な場所でコーヒーをいただくという贅沢をしてみるのもいいですよね。 ローズ&ラズベリーのクリームソーダ(820円・税込) ケーキセット(1,500円・税込) <金沢白鳥路ホテル山楽 PARTIE(パルティ)> ◯ 金沢市丸の内6ー3 ◯ 9:00~21:00

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    【16:50】金沢城大手門

    【16:50】金沢城大手門

    「金沢白鳥路ホテル山楽」を出て徒歩1分。加賀藩・前田家の居城「金沢城」の正門、大手門へ。新丸や大手門は高山右近の設計によるものと言われています。築城の名手でもあった高山右近は金沢城の修築にも携わっているのです。

    • 金沢城の大手門(正門)は、現在の黒門口にあったのですが、右近の指導により現在の場所に移したそうです。 金沢城については「石垣の博物館とも言われる「金沢城」で石垣巡りをしてみよう(http://kanazawa-okiniiri.com/machiaruki/view/81)」もご覧ください。

    • 1612(慶長17)年に幕府によってキリシタン禁教令が発布され、キリシタンや宣教師は国外追放に。キリスト教の信仰を貫いた右近は、1614年、金沢を出てマニラへと向かうことになるのです。その際に金沢のキリシタンが集合したのがここ大手門だったそうです。 自分が修築した場所で、この地を去ることになるとは、皮肉なものですね。 <金沢城公園> ◯ 金沢市丸の内1 ◯ [3月1日~10月15日]7:00~18:00 (退園時間)、[10月16日~2月末日]8:00~17:00 (退園時間) ◯ 無休 ◯ 無料

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    【17:00】豪姫住居跡の黒門前緑地

    【17:00】豪姫住居跡の黒門前緑地

    大手門から徒歩約3分、現在の金沢城黒門近くにある「黒門前緑地」へ。ここは前田利家とお松の方の四女であり、切支丹でもあった豪姫の住居跡です。豪姫は豊臣秀吉の養女となり、宇喜多秀家に嫁ぎます。関ヶ原の戦いの後、金沢へ戻りこの地に住んだと言われてます。 建物は豪姫が暮らした屋敷ではなく、高峰譲吉博士ゆかりの家屋を移築したものです。

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    【17:10】金沢城下にあった伴天連屋敷跡

    【17:10】金沢城下にあった伴天連屋敷跡

    豪姫屋敷跡から徒歩3分。尾崎神社方面へと歩き、その少し先にある甚右衛門坂へ。金沢城の西側と城下をつなぐ甚右衛門坂下の周辺には、キリスト教宣教師の屋敷、伴天連(バテレン)屋敷があったと言われています。

    • 内藤如安や浮田休閑といった有名なキリシタン武将や加賀藩士が高山右近を頼って加賀藩に多くやってきたとも言われています。 この近くにある大谷廟所のあたりには教会も建てられていたそうです。 当時のイエズス会報には「金沢は日本で最も栄えた教会」とも書かれたそうなので、江戸時代、金沢の地でキリスト教徒がたくさんいたのでしょうね。

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    【17:20】もなかスイーツの甘味処「すずや」

    【17:20】もなかスイーツの甘味処「すずや」

    ぐるっと金沢を歩き通して疲れた体にはやはり甘いもの!尾山神社の近くに、2021年4月にオープンしたばかりの甘味処「すずや」へ。伴天連屋敷跡から「すずや」までは徒歩約7分ほどです。

    • 甘味処「すずや」では、仙台生まれのもなかスイーツが味わえます。ずんだ餡はもちろん、粒あんに白餡、さらにドライフルーツといった変わり種の具材がたくさん。 そばの実いちじくの最中(550円・税込)と煎茶(550円・税込)をいただきました。 テイクアウトもできますよ。 <甘味処すずや> ◯ 金沢市尾山町13-2 ◯ 12:00~19:00(18:30L.O.) ◯ 木曜定休

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    【18:30】尾山神社で神門のライトアップを見て終了

    【18:30】尾山神社で神門のライトアップを見て終了

    高山右近の金沢に残る足跡を辿ると、最後は尾山神社の神門のライトアップを見て終わりたい気持ちになりますね。教会ではなく神社ではありますが、ステンドグラスが美しいですからね。何より尾山神社にはキリシタン大名・高山右近を金沢に招いた前田利家公が祀られていますからね。高山右近めぐりの締めくくりにはピッタリだと思います。神門のライトアップは毎日、日没から22時まで。(写真:金沢市提供) ※このコースは2021年7月11日に行って来ました。新型コロナウイルスの影響で、営業形態、営業時間や定休日が表記と異なる場合がありますので、ご利用の際は必ず事前にご確認ください。 ※今回訪れたお店では、感染防止対策としてアルコール消毒やスタッフのマスク着用を実施しています。

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