石垣の博物館とも言われる「金沢城」で石垣巡りをしてみよう
石川観光で外せない「金沢城」は、重要文化財の石川門や三十間長屋、あらたに復元整備された玉泉院丸庭園や鼠多門など見所があまたあります。でも今回ご紹介するのはさらにディープな金沢城巡り。それは「金沢上石垣巡り」!実は金沢城は「石垣の博物館」と呼ばれるくらい多種多様な石垣があるんですよ。
昼からスタートafternoon start!
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【11:00】金沢駅から香林坊へ
金沢駅5番乗り場から、土日祝日100円で運行している「まちバス」に乗り、「香林坊大和・アトリオ」のバス停で下車します。まずはお昼ご飯を食べエネルギーチャージしてから向かいましょう。金沢城石垣巡りはかなり歩きますからね。 午前中の元気なうちにスタートする人は兼六園下まで行っちゃいましょう。
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【11:30】更科藤井で手打ちそばをいただく
金沢21世紀美術館の近くにあるお蕎麦屋さん「更科藤井」。柿木畠の通りに趣ある風情でひっそりと佇んでます。 店主は、東京の麻布十番にある更科蕎麦の老舗「総本家 更科堀井」さんで腕を磨いた方で、美味しい更科そばをいただけます。 「更科そば」とは、そばの実の芯の部分だけを用いて打つそばのことで、美しい純白色が特徴的なお蕎麦です。
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やや肌寒くなってきたので「かしわせいろ(1,550円・税込)」、とりの温かいお汁でいただくざるそばをいただきました。ふわっとたちこめるお蕎麦の匂いがまた食欲をそそります。
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寒くなる冬の時期限定で、鴨南蛮や鴨せいろなど、鴨メニューも登場します。 <更科藤井> ○ 金沢市柿木畠3-3 ○ 11:30~14:00、17:30~20:30(火〜土)、11:30~19:30(日祝) ○ 月曜定休
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【13:00】「石垣の博物館」とも呼ばれる金沢城へ
お腹を満たしたらディープな金沢城巡り「金沢上石垣巡り」をすべく、兼六園と金沢城の間のお堀通りを歩き、金沢城の入り口「石川門」へ。
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実はお城の正門は「大手門」と呼ばれる場所なので、「石川門」は正面ではないんですね。ただ今ではやはり兼六園から続いていることもあり金沢城といえば「石川門」というイメージがありますね。 今回、石川門からやってきたのは理由がありまして、実は、金沢城には『ボランティアガイド』さんがいらっしゃるんです。 基本的には、年末年始と1〜2月以外は毎日ガイドを頼むことができます。ガイド料は無料です。
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残念ながら到着が遅かったのか、ちょうど混む時間だったのか、ガイドさんはいらっしゃいませんでしたので、今回は「石垣めぐり」マップをもとに巡ります。 城内には「石垣めぐり」の案内板も各ポイントにありますし、案内所には石垣めぐりのマップも置いてありますよ。
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石垣めぐりの前に主な石積みを確認しておきましょう。 これは<自然石積み>といって、自然のままの石や、簡単に割っただけの石を用いて積み上げる技法。<野面積み>とも言います。初期の城郭建築で用いられたもので、金沢城では「東の丸」周辺などで見ることができます。
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<粗加工石積み> 割石の表面をさらにノミで加工して、ある程度形を整えた石で積み上げる技法。<打ち込みハギ>とも言います。金沢城では城の外周などでよく見られます。
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<切石積み> 割り石をさらに方形に整形した石を用いて、隙間なく積み上げる技法。<切り込みハギ>とも言います。 正方形や長方形、多角形など様々な形があり、デザイン性を重視した石垣なので、攻撃や地形の歪みで崩れやすく防御力は低いです。 出入口など人目につく場所で多く見られる、アピール目的の石垣です。 まずはこの基本の3タイプの石垣を頭に入れておきましょう。
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【13:00】金沢城石川門
兼六園と金沢城をつなぐ橋を渡った先にあるのが重要文化財の「石川門」。最近は、兼六園からすぐ近いということもあり、こちらが金沢城の入り口というかメインゲートな感じになってますが、こちらは「大手門(正面)」の反対、裏側にあたる「搦手(からめて)門」です。つまり江戸の頃は裏門だったのです。
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石川門の中に入ると、左右で石の積み方が違うんです! 左が「粗加工石積み」で、右が「切石積み」となってます。同じ場所で違う積み方がされているというかなり珍しい場所なんですよ。
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普段は石川門の櫓の中には入れないのですが、重要文化財の特別公開の時だけ内部を見学することができるんです!公開日は金沢城公園のサイト(http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/)でご確認ください。
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石川門櫓の中です。なんとぐるっと取り囲んでるとこ全て入ることができます。櫓から見る景色はまた面白いですよ。
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石川門は桜の名所としても有名ですよ。桜の時期にはこのように実にフォトジェニックなお姿になります。まさに映えスポットです。
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【13:15】金沢城の正門「大手門」へ
石川門を潜ったら、まずは江戸時代の正門「大手門」へ向かいましょう。新丸広場のさらに向こうにあるので、ここまでくる人は少ないのですが、やはりお城の正面入り口は外せません。
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大手門で見逃せないのが、この巨大な石「鏡石」です! 「鏡石」は金沢城だけでなく、一般的にお城の正面によく用いられます。これはやはり藩にやってきた人に力を誇示するために重要な石でもあるんですね。
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実際目の当たりにすると、デカい……ってなります。 ほんとによくこんな石運びましたよね。トラックもない時代に。
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【13:25】再建された金沢城の河北門
「大手門」から入り、新丸から河北坂を上がった「三の丸」の正面にあるのが「河北門」。 実質的な金沢城内への正門ですね。現存する絵図や古写真、文献などをもとに平成22年に復元されました。
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河北門の内部は無料で一般公開されています。
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石川門側から見た「河北門」。けっこう大きいです。 お城を守る門といった感じで、迫力があります。
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【13:40】二の丸を守る「内堀石垣」
三の丸広場と鶴の丸の間にある内堀は、寛永8年(1631)の大火の後、二の丸を守る堀として作られたもの。そういったことを頭に入れながら場内を巡ると金沢城はなかなか防御力が高いですよ。 ただ明治時代にこの辺りの積み石の多くが取り外されてしまったため、五十軒長屋の石垣などを手掛かりに、創建当時の姿を想像しながら復元されました。
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【13:45】菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓
物見櫓の「菱櫓」と「橋爪門続櫓」をつなぐ「五十間長屋」。石川門から入るとすぐ目の前に見えるいかにもお城!な感じの建物。左端の櫓が「橋爪門続櫓」、右の櫓が「菱櫓」、その間を繋いでいるのが「五十間長屋」です。
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三の丸側を向いた外周に組まれた石垣は「粗加工石積み」になっていて、お城内部の二の丸側は「切石積み」になってるんです。お殿様や奥方が見る方は、綺麗な「切石積み」になってるんですね。
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「菱櫓」は、大手門と搦手門(石川門)を見張る物見櫓でもあります。五十間長屋は武器倉庫でもあったので防御力高いですね。 「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門」の内部は、下記の通り有料で一般公開されています。 <入館料> ○ 大人(18歳以上):320円、小人(6歳~18歳未満):100円 ○ 入館時間:9:00~16:30 (最終入館16:00)
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【13:50】二の丸北面の石垣
二の丸の北面にある石垣は、形や大きさを揃えた「粗加工石積み」。「粗加工石積み」の中では最も完成されたものと言われてます。加賀藩の石垣技術者・後藤彦三郎は「城内でも指折りの石垣」と褒めたたえたそうです。 かつては石垣の上に、二の丸表能舞台の楽屋に使われた長屋が建てられていたそうです。
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【14:00】防火の願いが込められた土橋門の亀甲石
二の丸北面を進むと右手にあるのが「土橋門」跡。ここは「切石積み」の技法が用いられた石垣で、石垣の中には六角形にかたどられた「亀甲石」があります。
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見事に六角形ですね! これは水に親しむ亀を表したもので、防火の願いが込められているそうです。
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【14:10】たくさんの刻印がある数寄屋敷石垣
土橋門の正面にある「旧第六旅団司令部」の近くにある「数寄屋敷石垣」。実は金沢城の石垣には200種以上の刻印があるんです。中でもここ「数寄屋敷石垣」ではたくさんの刻印を見つけることができます。
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城内に突如現れる洋風な建物は「旧第六旅団司令部」。 明治時代ここには陸軍司令部が置かれていたんです。 ちなみに江戸時代この場所は、藩主の側室たちの住まいがあった場所なんです。 「旧第六旅団司令部」の横に広がるのが「数寄屋敷石垣」です。 残念ながら「旧第六旅団司令部」は公開されていません。
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石垣の前にはここ「数寄屋敷石垣」で見ることのできる「刻印」の一覧があります。これを手掛かりに探してみましょう。
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この辺りの石垣は長方形に仕上げた「切石積み」。 石垣を見ると口とか田、◯などの刻印がはっきり見えますね。 この刻印は寛文頃の改修時のものらしく、刻印は石を切り出す時の作業分担を示すために付けられたんじゃないかと言われてます。
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【14:20】玉泉院丸公園から見える色紙短冊積み
平成27年に復元された「玉泉院丸庭園」に面した石垣はもはやアート!「玉泉院丸庭園」は藩主が楽しむための、内向きな庭として造られているので、藩主の趣味嗜好をうかがえる場所でもありますね。この「玉泉院丸庭園」は石垣ありき、つまり石垣を庭の背景として取り込んでいるというおもしろい庭でもあります。
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庭園の背景となっている「色紙短冊積み」の石垣。技法は「切石積み」。 色紙(方形)や短冊(縦長方形)の石をまるでモザイクのように積み上げた石垣はもはや石垣の域を飛び出たアートですね。 ここは「ブラタモリ」でも紹介されていたので、ご存知の方も多いかと思います。
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「色紙短冊積み石垣」の上に方にある黒いV字状の石樋があるのですが、かつてここから水が流されていたそうなのです。 石垣の下が埋められていて今は見ることができないんですが、滝壺の石垣も発見されているので、ここには落差9メートルもの滝があったそうです。
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【14:30】三十間長屋
「玉泉院丸庭園」からも見える重要文化財の「三十間長屋」。安政5年に再建され倉庫として使われた建物です。「三十間長屋」も普段は非公開ですが、重要文化財の特別公開の時だけ内部を見学できます。
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土台は「切石積み」の技法で積まれているのですが、表面の縁取りだけをきれいに揃え、内側を粗く残す「金場取り残し積み」という技法が用いられています。
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【14:40】戌亥櫓石垣に掘られた「レンガ造りのトンネル」
戌亥櫓跡から鶴丸倉庫へと向かう戌亥櫓石垣にあった、「レンガ造りのトンネル」。このトンネルは旧陸軍によって掘られたものだそうです。
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石垣の中に突如あらわれたレンガ造りのトンネル。 明治から昭和にかけて、金沢城には旧陸軍の施設が設けられたんです。このトンネルは明治から大正期に、旧陸軍によって弾薬庫が建設された際に作られたものだと言われてます。 お城の石垣の中に洋風のレンガ造りのトンネルが現れるので不思議な感じです。
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鶴丸倉庫からさらに進んだ奥にあるのが「東の丸北面」! ここにある石垣は金沢城内で最も古い「自然石積み」で造られています。金沢城内で本格的に石垣づくりが始まった文禄元年(1592)に造られた城内最古の石垣。金沢城の初期の姿を伝える数少ない貴重な石垣です。 もしかしたらこの場に前田利家も立っていたのかもしれないと思うと、ドキドキしますね。
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【15:00】鶴の丸休憩館内にある『豆皿茶屋』で一服
鶴の丸広場にある「鶴の丸休憩館」の中には『豆皿茶屋』というカフェも入っています。お寿司やお菓子、金箔ソフトクリームなどがあります。
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金沢城の「鶴の丸」に、「鶴の丸休憩館」という休憩所ができました。
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内部は全面ガラス張りになっていて、菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓が目の前に広がります! 金沢城の資料も展示されています。
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館内からのお城ビューも抜群です。 これは贅沢ですねぇ。
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ちょっと一息と「ちょこっとぷれーと」をいただきました。 本日のお菓子1品と加賀棒茶または金澤珈琲のAセットで750円(税込)です。 写真は2人分です。 <豆皿茶屋> ◯ 営業時間:9:00~17:30(夏季)、 9:00~16:30(冬季) ◯ 定休日:年末年始
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兼六園下でゴール
石川門を出て、兼六園下でゴール。 これにて、ディープな金沢城石垣めぐりは終了。 ちょっと一味変わった金沢城巡りしてみませんか? ※このコースは2020年11月21日に行って来ました。新型コロナウイルスの影響で、営業形態、営業時間や定休日が表記と異なる場合がありますので、ご利用の際は必ず事前にご確認ください。 ※今回訪れたお店では、感染防止対策としてアルコール消毒やスタッフのマスク着用を実施しています
ゴールFinish!