訪れると元気になる居酒屋

「えん家は、仲間がたくさん集まって、目一杯楽しい時間を過ごしてもらうためにできた店なんです」開口一番にそう話してくれたのは、代表の夛田将人さん。

だからえん家の「えん」に込めた意味のひとつは「宴会」の「えん」。

宴会とは「飲食を共にすることによりお互いのコミュニケーションを深める行為」のことで、2、3人の少人数ではなく大勢で行うものを指す言葉。そしてコミュニケーションは飛び火する。えん家では、隣り合った席同士で意気投合することも少なくないという。えん家の「えん」のもうひとつの意味は「縁」。

「だから、うちの店はいつもにぎやかです」と夛田さんが笑う。

ゆったりと足が伸ばせる座敷席。大きめのテーブルは大人数でもOK！

そのせいか、えん家には常連客が多い。「ここに来たら元気になる」と、普段は友人とわいわい楽しむ客が、ふらりと一人で訪れることも少なくない。カウンターの中のスタッフと談笑しながらにぎやかな店内の雰囲気を楽しんでいくのだとか。

一人でも立ち寄りやすいオープンキッチンのカウンター席

料理がメインになってはいけない

「宴会の主役はあくまでも人。料理はそれを盛り上げるための小道具のひとつ」というのがえん家のメニューの捉え方だという。「おいしい食材が多くそろう金沢では、こだわろうと思えばとことんこだわりの料理を作ることができる。けれどその結果、訪れづらい店になったら本末転倒」だと夛田さんが言う。

メニューは400～800円台のものが中心だ。コースも料理3,000円からオーダーできるから、若い世代にも、家族で訪れるにも「お財布に優しい」。とはいえ、金沢では知らない人のいない有名居酒屋で腕をふるった料理長が作る料理はどれも絶品の声が高い。

料理4,000円のコースから、一人一匹のどぐろが付く大盤振る舞い。

その中で、えん家のスペシャリテはマグロ料理。「金沢でマグロ？」と聞くと「だってマグロはみんな好きでしょう」と、ここでも大勢が楽しめることを一番に考えた答えが返ってきた。

宴会の締めにはもちろん、お土産として持ち帰りの人気も高いのが「海鮮太巻(1,480円／ハーフ780円)」。マグロはもちろん本マグロ、これに白身の魚などを合わせて巻き上げ、仕上げに上からたっぷりのいくらを振りかける。

あまりのボリュームに、店内のメニュー表には「少人数の場合はハーフをおすすめします」と注意書きがされているほど。

赤身が基本だが、日によっては中トロに近い部分が巻かれることもあるとか。

本マグロのお造り(1,500円)のボリュームも半端ない。

マグロだけでなく数種類の魚介を盛り合わせた「造里(時価)」は、「赤字覚悟」というほどで、器からこぼれそうなほどに盛り合わされる。こちらもえん家に訪れた際にはオーダー必須だ。

中をレアに仕上げた本マグロカツ(1,450円)も看板メニューのひとつ。

えん家の味をランチでも

えん家には姉妹店がある。店から50mほどの場所にある「とも家」だ。

「姉妹店といっても、できたのはとも家が先」なのだそうだ。「とも家はもう少しこぢんまりとした店なんですが、お陰様でオープン当初から多くのお客様に来ていただいて」。連日の満席で、予約を断らなければならない心苦しさから誕生したのがえん家なのだそうだ。

「だからメニューはほぽ同じ。少人数ならとも家、大勢ならえん家と使い分けてもらうといいですね」と話す。

えん家とは徒歩1分ほどの距離にある「とも家」。とも家の「とも」は「友達」の「とも」だ。

「使い分けといえば」と夛田さんが教えてくれたのが「えん家には『えん家VR』があります」。「VR」は「VIPルーム」の略だとか。周囲を気にすることなく盛り上がることができる個室が「えん家VR」だ。

えん家VRは掘りごたつの個室。足をおろしてゆっくりできるのもうれしい。

「メニューはほぼ同じ」という姉妹店のとも家だが、一番の違いは、こちらはランチ営業を行っていること。

天ぷらやカジキフライ、豚生姜焼きなどの定食を中心に10種類ほどのランチメニューはほとんどが1,000円以内だから、日常使いにもぴったり。ランチタイム(11:30～14:30)は近くで働く人ですぐに満席になってしまうというから、確実に食べたいなら早めの訪問がおすすめ。

Instagram： https://www.instagram.com/enya.0708/

※価格はすべて税込み

取材日時　2024年1月9日

取材・文　小杉智美

店舗情報

店舗名	えん家
住所	金沢市片町2-3-2　味ビル2F
電話番号	076-223-1066
営業時間	18:00～24:00
定休日	不定休