街と人の元気をつくる拠店! 串揚げ「いやさか」
鞍月用水が流れるせせらぎ通りの「いやさか」は、揚げたてほっかほかの串揚げとおいしい酒、店のスタッフや隣り合わせた人とのコミュニケーションが楽しめる店。週末や祝日は昼飲みも堪能できる店。訪れる際は「スズヤ電子パーツセンター」と書かれた青い看板を目印に!
選びきれない約40種の串揚げと豊富なサイドメニュー
「とりあえず」とスピードメニューから枝豆や漬物をオーダー。それを肴に乾杯するうちに届けられる揚げたての串カツ(330円/3本)やエビ(330円/1本)、玉ねぎ(110円/1本)になす(110円/1本)……。アツアツのうちに、テーブルに備えられたソース、通称『ドブ漬け』にたっぷり浸して、またドリンクを一口。
準備中の店内からでも、そんな様子が目に浮かぶのは、せせらぎ通りにある「串揚げ いやさか」。グループで囲むことができるテーブル席のほか、長いカウンターに設えられた赤いスツールがレトロ感をかもし出している。
職人の手元まで見える境の低いカウンターから生まれる料理と会話がいやさかの魅力のひとつだ。
グランドメニューが30種、これに季節のメニューが10種類前後。常時40種類ほどの串揚げが提供されるほか、出汁や材料の下ごしらえからていねいに仕込んだ揚げ出し豆腐(440円)やポテトサラダ(300円)など、メニューの豊富さも「いやさか」が男女年齢、上戸下戸を問わず楽しめるポイントだ。
串揚げの人気はほかに、生から揚げるカリカリほくほく食感のブロッコリー(165円/1本)や鶏のささ身をガリで巻いたガリささみ(220円/1本)、栗蒸しようかん(220円/1本)などここでしか味わえないものも少なくない。
串揚げの代名詞とも言える「二度漬け禁止」のドブ漬けソースは、大阪から取り寄せた地ソース3種と地元石川の醤油を合わせ、北海道日高産の根昆布でじっくりとった出汁を絶妙にブレンドした自慢の逸品。お一人様で使うことができるかけソースもあるので、ソースのシェアが苦手な人も安心!
ほれぼれするような手際とテンポの良さ。
串を揚げる音や香りもまたごちそう。
店主の掛田英治さんはもともと割烹店を営む日本料理の料理人のため、目利きや仕込みの丁寧さは推して知るべし。気軽な雰囲気とおいしくて豊富なメニュー、楽しい酒がそろえば、2度、3度と足を運び、気づけば常連になっていたという人も少なくないという。
揚げたてをぱくりと一口。これぞ串揚げの醍醐味。食べ過ぎ注意!
看板をかけ直さないことに込められた店主の思い
「串揚げ いやさか」には看板がない。外から店名がわかるものといえば、店頭に掛けられたのれんだけだ。
特に、せせらぎ通り店はまったく違う店の看板が大きく掲げられている。それが青地に白く染め抜かれた「スズヤ電子パーツセンター」だ。この通りで何十年と営業を続けてきた店で「いやさか」は、その跡地にオープンした。
オープン当初は「分かりづらい」「紛らわしい」と苦言を呈されたこともあるという、いわく付き。
今ではすっかり名物となっていて、写真に納める人も多いという。
なぜ、と問うと「この看板がこのまちを長く形作ってきたものだから」と返ってくる。
「もともと、街並みや商店街にはそのまち独特の色や息遣いがありました。それが最近は、どの街に行っても似たような雰囲気になっていて、だから古くからあるものを壊して新しいものばかりを作ることに抵抗感があったのです」店主はそう話してくれた。
まちも店もまずは人の営みありき。そこに住んでいたり、行き交う人が「ちょっと一休みしたいな」と思ったり、その際に陽射や雨風をしのいだりするための場所ができ、そこで喉や小腹を満たすために飲食店が作られたり。
「そんな人々のコミュニティや、毎日の暮らしにちょっとお邪魔させていただける存在でありたい」という思いが「いやさか」のベースとなっている。
隣り合った人といつのまにか仲良くなっている。そんなサプライズも「いやさか」の魅力のひとつ。
お客様も店も地域も元気にと願いを込めて「いやさか~!」
「いやさか」という店名は、平安時代にはすでに使われていたという日本の古い言葉が由来。漢字では「弥栄」。「ますます栄える」という意味を持ち、乾杯の音頭にも使われてきた言葉だ。「個ではなく、全体が栄えること」を祈る言葉でもあるという。
訪れた客の「弥栄」はもちろん、コミュニティの中で地域と共に栄えることでまち全体が元気になり、末長く発展して行きたいという想いが込められている。
土日曜と祝日は昼12:00から営業。繁華街という場所柄か家族連れも多く、お母さんが買い物をする間、お父さんと子どもたちがここで食事と昼飲みを楽しみつつウェイティングという姿もあるという。
串揚げはほとんどのメニューがテイクアウトOK。ただし、混み合っている場合は対応できないこともあるため事前に予約するか、持ち帰り分を先に注文してから店飲みをはじめるのがベター。
明るい時間のきゅっと一杯! たまらない時間。
※価格はすべて税込
取材日時2022年9月9日
取材・文 小杉智美
店舗情報
店舗名 | いやさか 金沢せせらぎ通り店 |
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住所 | 金沢市長町1-3-57 |
電話番号 | 076-260-5594 |
営業時間 | 17:00~24:00(LO23:30)、土曜日12:00~24:00(LO23:30)、日祝日12:00~22:00(LO21:30) |
定休日 | 月曜日 |