近江町市場近くの「東出珈琲店」でこだわりの自家焙煎コーヒーを堪能せよ

近江町市場隣の「東出珈琲店」は、おいしいコーヒーを飲めるカフェとして金沢で1~2位を争う店。Instagramでも話題のプリン・おすすめドリンクメニュー・コーヒー豆のこだわり・コーヒーをおいしく淹れるコツなど。こだわりの自家焙煎豆で、一杯ずつ心をこめて淹れるコーヒーを、東出マスターの想いとともにご紹介。

 

「東出珈琲店」は、金沢の近江町市場「買い物通り口」を出てすぐの通り沿いにある。ノスタルジックな看板やコーヒー豆の焙煎機が見えるのも特徴的だが、外観よりも口コミやコーヒーのいい香りにつられてやってくる客が多い。

 

モーニングコーヒーを楽しめる貴重なカフェ

「東出さん、おいしいよね」
「うまいコーヒー飲みたい。後で行こ!」
店の外観写真を撮るほんの数分の間に、通りすぎる人々のそんな会話が何度も耳に入った。

平日朝8時。近江町市場を訪れる観光客よりも、通勤のために歩く地元住民の方が多い時間帯だ。

モーニングセットこそメニューにないものの、「東出珈琲店」は市場で働く人のために朝8時から開店している。

金沢市民は、コーヒー豆の消費量が全国一になるほどのコーヒー好き。
モーニング文化のない金沢では、朝8時からおいしいコーヒーが飲めるカフェは、貴重な存在だ。

必ず生花が飾られている「東出珈琲店」の店内の様子

ガラス越しに焙煎機を覗き込みながらドアを開けると、コーヒーのいい香りが一層強くなる。

落ち着いた色彩のステンドグラス。
壁にかかった古時計。
歴史を感じる柱やテーブルの渋い茶色は、いずれも純喫茶らしい雰囲気を店内に漂わせている。

カウンターを含め全26席の小規模な造りで、混雑時にはテーブル席での相席もあるという、こじんまりとしたカフェだ。

 

金沢でコーヒーがおいしいと人気な訳とは?

「うちのコーヒーをおいしいと言ってもらえるのは、一つ一つの手順をサボらずやってるから。多分、ただそれだけなんですよね」。
そう話すのは、優しい雰囲気のマスターの東出陽一さん。

東出さんがドリッパーにお湯を注ぐと、コーヒーの粉がモコモコと膨れ上がる。焙煎したての新鮮なコーヒー豆を使用している証拠だ。

・新鮮なコーヒー豆を小まめに焙煎する
・豆のピッキングを丁寧に行う
・挽きたての豆で淹れる
・カップをきちんと温める
・ドリップを焦らない

以上を、実行し続けるだけだという東出さん。

これこそが、「東出珈琲店」が長年コーヒー通に愛され続ける理由ではないだろうか。

 

マスターの優しさでできている東出ブレンド

「東出珈琲店」で人気No.1メニューの「東出ブレンド(430円)」。

「忙しい仕事の合間にコーヒーを飲みに来てくれる人も多い。身体に負担なく飲みやすい配合にしています」。
「東出ブレンド」は東出マスターの好みではなく、客の体調を案じて作ったブレンドだという。

確かに、重厚感のあるアロマなのに、口に含むとスッキリと喉への通りが良い。苦みも酸味もシッカリしたコーヒーらしい中深煎りだが、熱々でもゴクゴクと飲んでしまいたくなる程、すがすがしい飲み口が特長だ。

「まずはブレンドを飲んでもらって、そこから自分の好みで変えてもらうといいかも」。
東出さんはコーヒー初心者にはそう話すようにしているという。

他にも、メニューにはコーヒーだけで20種類も載っており、豆ごとに味の特徴が書いてあってわかりやすい。

甘みのあるコーヒーが好きな人には、それもわかりやすくメニューに印がついている。
お好みで、色々なアレンジコーヒーを楽しんでみよう。

見た目も美しくハチミツたっぷりの「ハニー・カフェ・コン・レーチェ(580円)」は、底に沈んだハチミツをよくかき混ぜて飲む。

 

こだわりのコーヒー豆はギフトにも最適

「東出珈琲店」では焙煎する前と後の2度も、コーヒー豆を手でピッキングしているそう。ピッキングとはコーヒー豆を一粒ずつチェックし、欠点のある豆を捨てる作業のこと。

「これをしっかりやれば、コーヒーはおいしいんです」と東出さんは話す。
とは言え、ひたすらに豆をより分け続けるのは、根気のいる大変な作業だ。

その甲斐あってか、「東出珈琲店」ではコーヒー豆を買って帰る客も多いという。

まずは店内でコーヒーを飲んでみて、味を確かめてから豆をオーダーするのも有りだ。

丁寧にハンドピックされ、適正に焙煎したこだわりのコーヒー豆は、間違いなくおいしい。
ギフトや自分へのお土産にも、おすすめできる一品だ。

 

インスタでも有名な「東出珈琲店」のプリン

おしゃれな情報が飛び交うインスタグラムで「#東出珈琲店プリン」が度々登場する。

カラメルのほろ苦さがプリンの甘みとベストマッチしている「東出珈琲店」のプリン。

コーヒーとの相性を計算して作られた名物「プリン(400円)」は、午後になると売り切れている日も多いという。

口に入れると、見た目以上にプルプルの食感に驚くはずだ。
甘い物が好きな人は、ぜひ試してもらいたい。

プリンの他に、季節にもよるが「スフレチーズケーキ(400円)」などもある。

朝食に、ジャムとバターを選べる「トースト(280円)」を食べていく人も多いそうだ。

プリンを含む自家製スイーツメニューは、すべて東出さんの奥様の手作りとのこと。
「2人も子育てしながら、スイーツまで作ってくれる!嫁には頭が上がりません」と、東出さんは自宅に向かって手を合わせる。

 

先代「チャペック」から受け継いだ味と心

東出さんは学生時代、東京コーヒー有名店「カフェ・バッハ」でアルバイト経験がある。
その後、金沢に戻り「チャペック」のマスター松永さんに師事。
11年目に独立する際に松永さんから場所を譲られ、「東出珈琲店」をオープンさせた。

「東出珈琲店」の前身である「チャペック」は金沢市鞍月に移転しており、現在も営業中。同じくコーヒーがおいしいことで有名なカフェだ。
 
「場所だけでなく設備、食器、常連さん、すべて譲ってくれた」と話す東出さん。

店内には先代から譲り受けた品々や、常連客から寄贈された様々なアートが並ぶ。

「本当に、皆さんのご厚意で成り立っている店なんです。先代のように、皆に気楽にコーヒーを飲んでもらって、ゆっくりできる場所にしたい」。

東出さんの話の1つ1つには、他者への感謝と敬意が滲み出ている。
店内の穏やかな空気の源が、ほんの少しだが見えたような気がした。

 

 

※価格はすべて税込

 

取材日時 2019年3月5日

 

取材・文 廣中 恵

 

 

 

店舗情報

店舗名 東出珈琲店
住所 金沢市十間町42
電話番号 076-232-3399
営業時間 8:00~19:00
定休日 日曜・祝日