加賀藩主・前田家ゆかりの店主が営む癒やしのカフェ「和美茶美」

ひがし茶屋街の賑やかさから少し離れた、市営東山観光駐車場の裏手にある隠れ家のような日本茶カフェ「和美茶美」。自家焙煎のお茶の香ばしさにひかれるままにのれんをくぐろう。

先祖は前田利家とともに尾張から金沢に移り住んだ

 

「和美茶美」があるのは創業から92年を数え、地元客に愛されてきた天野茶店の奥。「和美茶美」は、創業90周年を機に店舗をリニューアルした際にオープンした。

もともと天野家は、前田利家の金沢入城の際にともに金沢に移り住んだ家系。当時は米などの穀物を扱う役を担っていたそうだが、昭和初期に茶の商いを始めたのだという。

「今、日本人の飲むお茶の大半はペットボトル。それはそれで手軽だけれど、急須できちんと淹れたお茶のおいしさをより多くの人に知ってもらいたい」と話すのは4代目店主の天野喜一さん。

「お茶を淹れる手間は実はそんなに大変じゃない。ほんの少し手をかけることで、忙しい日常の中に、癒やしやほっと和める時間が持てるのもお茶のいいところです。それを体感して欲しいという思いが和美茶美にはあります」。

 

前田家から拝領したと伝えられている海鼠釉の茶壺。200年ほど前に作られた信楽焼の茶壺は、焼き物ファンがわざわざ見に訪れるほど。

 

カウンターに設置された茶炉からは、柔らかく湯気が立ち上る。

 

日本茶の量り売りをする店舗の奥、白いのれんをくぐった先にカフェがある。築230年という金沢町家の造りを生かした風情あるたたずまい。あるべきものがあるべき場所にきちんと納められた店内は、茶室にも似た清廉さを感じさせてくれる。

 

 

 

席は「茶を入れるところを見てもらいたい」からとオープンキッチンを囲むカウンターの7席のみ。

 

 

メニューは、日本茶とスイーツのセットが中心。

一番のおすすめは、天野茶店の看板商品でもある加賀棒茶。えぐみのないさわやかな香ばしさは、熱くても冷たくても抜群ののど越しだ。

ドリンクに抹茶を頼むと、自分で点てることもできる。茶道は未経験という人も、天野さんが丁寧に教えてくれるので、安心してチャレンジして欲しい。外国人はもちろん、若い女性にも人気のサービスだという。

もちろん他のお茶の淹れ方も、尋ねれば丁寧に教えてくれるので、ここでの経験と味わいを家に持ち帰ることもできる。

自分で点てた抹茶を自分で飲むのも、茶道が日常に浸透している金沢文化を感じる体験。

 

 

選べるスイーツは4つ。ひがし茶屋街からも近い主計町の菓子舗はやしの「上生菓子」、甘さ控えめでふわふわの「ほうじ茶ロールケーキ」、しっとりした口溶けとカリカリの表面が香ばしい加賀の「紅茶ブリュレ」など、どれも店主が選び抜いた逸品ばかりだが、中でもイチオシは「れもん柚餅子」。

これは寺町の老舗菓子舗戸水屋で作ってもらっているもので、戸水屋の店頭にもほとんど並ぶことがないものなのだとか。もちもちの食感とさわやかなレモンの香りが日本茶の甘みを引き立ててくれる。

ドリンクは6種。写真の抹茶と加賀棒茶、煎茶、加賀の紅茶はスイーツとセットで850円。熟成煎茶と玉露は950円。

 

 

暑い季節だけでなく、一年を通してオーダーの多い「あんみつ風和パフェ」950円。ジェラートは抹茶と加賀棒茶2種類からチョイス。ぷち加賀棒茶付き。

 

 

 

全国的にも人気の加賀棒茶は癒やし効果の高いお茶

 

天野茶店の看板商品はやはり加賀棒茶。

厳選した茶葉の葉脈から茎にかけての柔らかい部位のみを使用し、味にムラがでないよう均等に切りそろえた上で、少量ずつ丹念に焙じているため、甘みと香ばしさは群を抜く。取材中も、地元の常連客がひっきりなしに訪れていた。

基本は注文ごとの量り売りで、昔ながらの天秤ばかりで計りながら、店主と日常会話を交わすのも常連客の楽しみのひとつのようだ。

より手軽に、棒茶を楽しんでもらいたいと、ティーバッグの棒茶や持ち歩き用のボトルなども販売しているので、土産に買って帰るのもいい。

 

香り高い加賀棒茶は100g540円、ティーバッグは10個入り540円、観光客に人気の金箔入りティーバッグは7個入りで540円。

 

金沢をはじめ広く石川県内では、古くから「番茶」として一年中飲まれている加賀棒茶は、1番茶、2番茶の茎の部分だけを使用したほうじ茶。3番茶以降の葉を使用する一般的な葉ほうじ茶とは異なるものだ。

茎を焙じた加賀棒茶は、葉ほうじ茶と比べると香ばしさを感じるピラジン類が1.5倍含まれており、他にもバラの花にも含まれるリラックス成分ゲラニオール、リナロールは4倍。

それでいてカフェインは少なめだから、金沢散策の合間はもちろん、就寝前のリラックスタイムにもぴったりの茶といえる。

 

 

急須や茶碗、茶道道具など、手頃な値段のものからの販売もしているので、一式そろえることも可能。

 

 

 

 

※価格はすべて税込み

 

取材日時20191211

 

取材・文 小杉智美

店舗情報

店舗名 日本茶カフェ 和美茶美
住所 石川県金沢市東山1-3-35
電話番号 076-252-3489
営業時間 9:00~18:00
定休日 不定休