知られざるウイスキーの世界が面白い!ウイスキーと本のカフェバー「袋町 Owls Hoot(アウルズフート)」

金沢の人気観光スポット・近江町市場がある交差点「むさし」の近くに、昨年9月ウイスキーと本がコンセプトというユニークなお店「袋町 Owls Hoot(アウルズフート)」がオープンした。従来のイメージのバーとは違い、明るいカフェのような雰囲気で女性1人でも入りやすい。ウイスキーはビギナーでも飲みやすいフルーティーなものから、ウイスキー通の方が楽しめるものまで幅広く取り揃えている。昼間はカフェとしても営業しており、ランチのキーマカレーが絶品だと人気。コーヒーを飲みながら本を読んだり、気さくなご店主と語らったりと思い思いに楽しめる。

アウルズフートは「フクロウの鳴き声」を意味する。フクロウはお店の所在地「袋町(ふくろまち)」に由来しているそうで、ご店主のユーモアが感じられる。隣の黒い建物は「かなざわはこまち」。

 

 

ウッディーな明るいカフェという感じで、気軽に入りやすい。席数は10席で、ご店主の中塚さんが一人で切り盛りしている。

 

 

 

本屋や図書館で本を探すようにウイスキーが選べる「ウイスキーライブラリー」

ウイスキーと本が大好きなご店主の中塚明さんが「ウイスキーをより多くの方に楽しんでいただきたい」とオープンした「袋町 Owls Hoot」。店内に入ると、テーブル席の横の棚にたくさんの本とウイスキーが並んでいる。

中塚さん曰く、ウイスキーはバックバーに置かず、この棚にすべて陳列してあるのだという。

店内の棚に並ぶたくさんの本とウイスキー。本は料理やお酒の本が多いが、読書好きの中塚さんのお気に入りの本も並ぶ。

 

「僕のお店ではウイスキーはお客さんの手に取れるところにおいてあります。お客さんが手に取って『こういうのもあるんだ』『こういうの飲んでみようかな』と本屋や図書館で本を探すような感じで選んでもらえたらと。僕の頭の中ではウイスキーライブラリーというイメージです」と中塚さん。

ウイスキーの種類は現在6070ある。スコッチ、アイリッシュ、カナディアン、アメリカン、ジャパニーズと世界の5大産地のものを中心に幅広く取り揃えている。

 

 

ボトルの見た目から選んで、中塚さんにどんなウイスキーなのか聞いたり、おすすめの飲み方を相談するのも楽しい

 

 

 

知られざるウイスキーの世界が面白い!キーワードは「熟成年数」と「樽」

元々、片町で長年バーテンダーをしていた中塚さん。ワインでいうところのソムリエに当たる「ウイスキープロフェッショナル」という資格を取得されており、ウイスキーに関する知識も豊富だ。

ウイスキーと本が大好きなご店主の中塚明さん。笑顔でとても気さくに接してくださるので話しやすい。

 

そんな中塚さんにウイスキーの魅力について伺った。

「ウイスキーは横の比較もあるのですが、縦の比較を楽しむことができる点が他のアルコールにはない魅力だと思います」。

「横の比較」とは「違う銘柄を飲み比べること」で、例えば日本のウイスキー「山崎」と「響」を飲み比べるということだ。

では、「縦の比較」とはどういうことか。それは同じ銘柄で飲み比べるということだ。ウイスキーには同じ銘柄でも「熟成年数」や入っていた「樽」によって香りや風味が違うという特徴がある。

例えば、スコットランドの醸造所で作られている「グレンファークラス」というウイスキーは「グレンファークラス10年」「グレンファークラス12年」、15年、25年と熟成年数の違うものが出ている。基本的には、熟成年数が長いほどまろやかで価格も高くなるが、どの熟成年数が好みかは人それぞれだという。

 

 

お店のInstagramには、このようにウイスキーと本を組み合わせた写真が並んでいてとてもオシャレ。(写真はお店のInstagramより)

お店のInstagramhttps://www.instagram.com/fukuromachi.owlshoot/?hl=ja

 

面白いのが通常、ウイスキーを熟成させる際に使う「樽」は、一度違うお酒が入っていた樽を使うという点だ。(アメリカのウイスキーは新品の樽を使用)

「バーボン樽」「シェリー樽」「ワイン樽」「ラム樽」などがあり、元のお酒を出して空になった樽にウイスキーを入れて熟成させる。すると元々入っていたお酒の成分も混ざるので、そこに個性が出る。同じ銘柄のウイスキーでも入っていた樽によって風味が違うのだ。

このようにウイスキーは、同じ銘柄で熟成年数や樽の違いによる「縦の比較」が面白いのだと中塚さんが話す。

また「ウイスキーはじっくりと時間をかけて飲むと香りの変化が楽しめるお酒で、考え事をしたり本を読みながら飲むのに適しているんです」とのこと。本とウイスキーは相性がいいのだ。

 

 

 

ウイスキービギナーにもおすすめ!甘くてフルーティーな「漬け込みウイスキー」

ウイスキーをあまり飲んだことのない人にも飲んでみてほしいと中塚さんがおすすめするのが「漬け込みウイスキー」。ウイスキーに氷砂糖を入れてアルコール度数を落とし、フルーツとスパイスを漬け込んだものだ。フルーティーで甘いので女性にも飲みやすいと好評だ。寒い時期にはお湯割りにしてホットウイスキーとしても楽しめる。現在、漬け込みウイスキーは「りんごとクローブ」「レモンとショウガ」「オレンジとシナモン」の3種類があり、風邪予防やアンチエイジングなどうれしい効果もある。

りんごとクローブの漬け込みウイスキー。クローブは肉料理によく用いられるスパイスだが、甘く濃厚な香りでドリンクやお菓子にも使われる。

 

 

 

ランチのキーマカレーが絶品!ウイスキーが隠し味

「袋町 Owls Hoot」は、昼間はカフェとしても営業している。ランチのキーマカレーが美味しいと評判だ。辛さはけっこう辛めなのだが、美味しいのでスプーンが止まらない。ライスの横に添えられた半熟たまごやマッシュポテト、手作りのピクルス(このピクルスがまた美味しい!)を箸休めのように食べていくとちょうどいい。キーマカレーと手作りのピクルスには隠し味としてウイスキーが入っている。(アルコールは加熱調理で飛ばしてある)

ランチで人気のキーマカレー(780円)。ご飯は無料で大盛りにできる。

 

お店では他にも「週替わりバスタ」や「BARのからあげ」「チーズオムレツ」「ソーセージ」などウイスキーにぴったりのフードが用意されている。

ハイボールとの相性も抜群の「BARのからあげ(680円)」(写真はお店のInstagramより)

 

 

 

今までウイスキーに触れてこなかった方も気軽にウイスキーを楽しんでほしい

「袋町 Owls Hoot」はカフェのような雰囲気で従来のバーのイメージとは一線を画している。このようなしつらいにした理由を中塚さんに聞いてみた。「僕のウイスキープロフェッショナルという職業を認知してもらうには、ウイスキーをいろんな方に知っていただく必要があります。若い方や女性の方など今までウイスキーに触れてこなかった方にも気軽に来てもらえるように、カフェのようなしつらいにしました」と中塚さん。

「ここに来たらウイスキーを飲まなくちゃいけないとかもないですし、この空間を楽しんでいただきたい。その中でウイスキーもお客さんと一緒に楽しめたらと思います」。

コーヒーやホットティーにウイスキーを数滴入れて香りを楽しむという飲み方もできる。写真中央の小瓶にウイスキーが入っている。(写真はお店のInstagramより)

 

 

中塚さんの好きな本の中に森沢明夫さんの「大事なことほど小声でささやく」という本がある。「オカマのスナックのママさんがお客さんの悩みを解きほぐしてあげるというお話なんですが、僕もこんなふうにお客様から信頼されるマスターでありたいなと思います。バーテンダーには『最後の相談者』っていう意味もあるんです。そんな存在でいたいなと思っています」と中塚さん。

中塚さんのお気に入りの本・森沢明夫さんの「大事なことほど小声でささやく」

 

ウイスキーは自分と向き合うのにぴったりなお酒だそうだが、中塚さんとの会話を楽しみに行くのもいいだろう。ウイスキー好きな方はもちろん、ウイスキービギナーの方やお酒が飲めない方も楽しめる、フクロウが目印の「袋町 Owls Hoot」へぜひ気軽に行ってみてほしい。

 

 

 

 

 

※価格はすべて税込み

 

取材日時 2020212

 

取材・文 岡崎真由美

 

 

店舗情報

店舗名 袋町 Owls Hoot(アウルズフート)
住所 金沢市袋町4-25 ムサシサンビル1F
電話番号 076-254-6238
営業時間 12:00〜22:30、金曜・土曜12:00〜24:00
定休日 日曜