柔軟な発想と確かな技術から生まれた唯一無二のアイテムがずらり並ぶ「まてーれ 金沢ひがし茶屋街」

ひがし茶屋街の奥に鎮座する宇多須神社。そのすぐそばに2023年6月に「まてーれ 金沢ひがし茶屋街」がオープンした。美しい色や素材が映えるよう、白を基調とした店内に、色鮮やかなバッグやストールを中心としたオリジナル商品などが並ぶ、能美市に本社を置く化学素材メーカー「小松マテーレ」のアンテナショップだ。店内中央に置かれているのは、工場で使用される「バッチカー」といわれる、生地を巻く台。商品が生まれる背景を感じさせてくれる。

素材を「1cmでも大切にしたい」という思いから、生まれたプロダクト「mate-mono

「まてーれ 金沢ひがし茶屋街」の母体は、能美市に本社を置く「小松マテーレ」。創業80年を数える石川県を代表する化学素材メーカーだ。製造するのはファッション・スポーツなどの衣料分野から、医療関連、建築建材関連、電材関連などの資材分野、さらには炭素繊維や超発泡セラミックス建材など環境共生素材を軸とした先端材料分野まで幅広い。実に年間約2mを製造する。

創業80年の技術と感性で日々染め上げられるテキスタイル(布地)

 

 

幅広いからこその悩みが、どうしても出てしまう端材。通常なら廃棄されてしまうそれらを「1cmでも大切にしたい」、ただのリサイクルではなく「素材の可能性を余すことなく引き出したい」。そんな思いから生まれたのが「まてーれ」でも販売されている「mate-mono」。

“「もったいない」を「みたことない」にかえる”自慢の技術と機能がたっぷり詰まった布地が見事にアップサイクルされている。

    

 

 

 

mate-mono」は、それぞれに「物語」がある

「まてーれ」に並ぶ商品には「物語」がある。中でも「mate-mono」はその色が濃い。誕生した背景や制作者の思い、環境やこの地への愛着。そんな商品を紹介したい。

「むだをなくすシリーズ」は「どうしたらロスを減らせるのか?」をヒントにたどり着いたもの。

そのシリーズから「のびるバッグ(6,600)」。

特殊な機械を使って、はじめからバッグの形に編み上げているのだという。波打つようなフォルムは、染色と同時につけた加工。チューブのような独特の風合いと、入れるもので自在に変わる形がチャーミングなバッグだ。

鮮やかな色合いは、ファッションの差し色にぴったりな上、コンパクトだからサブバッグとして使うのもよさそう。

「のびるバッグ」カラフルでタイトなタンクトップにも見えてカワイイ

 

 

華やかな光沢が存在感を放つ「ひかるバッグ(ショルダー6,600)」は「おかげさまでシリーズ」のひとつ。由来は「もともとは端材を使っていたが、人気のあまりバッグのために新たに生地を作るほどになったから」なのだとか。

「ひかるバッグ」の素材は遮光カーテンの裏地。日光を反射させるための光沢の美しさに着目されて生まれたシリーズだ。さまざまなサイズや形があるので、直接手にとって、肩にかけてその輝きを確かめてほしい。

「ひかるバッグ」金箔を思わせるゴールドは、ひがし茶屋街店の限定!

 

 

同じく「おかげさまでシリーズ」から「すけるバッグ(5,500)」。

このバッグに使われているのはサッカー場に敷かれる芝生の養生シート。白いシートをカラフルに染め上げたもので、絶妙な透け具合と工業資材ならではのハリ感がつくるぷっくりとした形が魅力。

「すけるバッグ」軽くて丈夫なため、アウトドアにもぴったり

 

 

 

環境にも配慮した先端素材をインテリアに

布地を染色した後の水を浄化する際、どうしても出てしまうのが「余剰バイオマスケイク」と呼ばれる汚泥。「環境のためになんとかしたい」と考えて生まれたのが「グリーンビス」という発泡セラミックスだ。発泡による細かな孔が温度を穏やかに伝え、たくさんの水分を蓄えて、同時に蒸発させるという特徴を持つ。

優れた断熱性・通気性・透水性・保水性が特長のグリーンビズは、舗装ブロックや畑の土壌改良材としても注目されている先端資材。

この特徴を活かして作られたインテリアが、火や電気を使用しないお香「g-cube×九谷焼(6,600)」と「Buddy(Sサイズ2,500円、Mサイズ3,500)」という植彩インテリアだ。

グリーンビズのブロックにアロマオイルを染み込ませて使う「g-cube」。ものづくりの原点・伝統工芸の九谷焼とのコラボ商品だ。

 

「人と植物がよき相棒となるように」と名付けられた「Buddy」。障がい者就労支援施設で一つひとつ手作りされている。

 

 

 

 

世界が注目する極薄素材「天女の羽衣」

数々の魅力的なアップサイクル製品と並行する「まてーれ」のイチオシアイテムが「天女の羽衣」。

髪の毛の1/5ほどの極細の糸で織られたもので、重さは1㎡で約10g。まとっていないかのような軽さと優しく風になびく風情はまさに伝説の天女の羽衣そのもののよう。

実はパリやミラノのファッションコレクションでは常連の素材だ。

「風や光を羽織っているみたい」と形容されるほどの薄さと軽さ。九谷五彩をモチーフにしたこのカラーはひがし茶屋街店限定。

 

スタッフの首元を飾っているのはもちろん「天女の羽衣」。使用感や使い方などぜひ聞いてみて!

 

 

美しい色や素材が映えるよう、白を基調とした店内に、一つひとつが物語を持った美術品のような商品たち。ひがし茶屋街の新名所になりそうな美しい店だ。

 

 

Instagram: https://www.instagram.com/matere_chayagai/

 

 

 

 

 

※価格はすべて税込み

 

取材日時 2023725

 

取材・文 小杉智美

 

 

 

 

 

 

店舗情報

店舗名 まてーれ 金沢 ひがし茶屋街
住所 金沢市東山1丁目27-5
電話番号 076-256-1763
営業時間 10:00~17:00
定休日 1月1日、2日