スパイスを通して毎日に彩りと豊かさを「INSPICE KANAZAWA(インスパイス金沢)」

金沢を代表する観光地のひとつ、ひがし茶屋街のメインストリートから少し離れた静かな小路に佇む築100年の町家。いかにも金沢らしい風景の奥に広がるのは、豊潤な香りをたたえるスパイスショップ「INSPICE KANAZAWA」。料理だけでなく生活に彩りを加えてくれるこだわりの詰まったスパイスに出会えるのは、ひがし茶屋街のシンボル・柳の木から徒歩3分だ。

格子戸の奥は異世界? 芳しいスパイスがずらり

「スパイス」と聞くと「エスニック」「辛い」というイメージが強かったり、「使ってみたいけれど、日常にどう取り入れればいいかわからない」「難しい」と感じる人も少なくないだろう。

そんなイメージを一掃してくれるのが、ひがし茶屋街にあるこの「インスパイス金沢」だ。細い路地沿いの金沢らしい町家、白いのれんをくぐり格子戸を開けると、ふわりと広がる芳しい香りと和洋、今昔が折衷するモダンな空間。一瞬前まで歩いていた、古都の町並みを忘れてしまうような佇まい。

 

古都金沢の「伝統と革新の融合」をイメージしたという店内

 

 

インスパイスでは、独自に調合したスパイスを「香辛料」ではなく「香味料」と呼ぶ。「スパイスは辛いもの、痺れるもの」という固定されたイメージをもっと自由に広げてもらうためだという。

使用する原材料は、すべて植物由来。厳選した材料を0.01gまで正確に計量し、一般的に「スパイス」と呼ばれるもの以外も使って香りを引き出すため、ブレンドは「調香味」と称する。

植物由来にこだわるのは、魚や肉を食べる人もそうでない人も「おいしい」を共有できるものづくりにこだわっているためだ。

常にフレッシュな香りをテイスティングできるサンプル。調香味されているスパイスは写真で全て明示

香りのチェックだけでなく、実際に味わうことができるものも多い。気になったものがあれば、気軽にスタッフに声掛けを。

 

 

 

豊富なバリエーションで味わいに豊かさを

インスパイスは、もともと大のスパイス好きだった西村祥社長が自身の経験から「今を生きる人々に、スパイスを通じて、人生を鼓舞したい」という想いを掲げて事業をスタートさせたもの。80種類ものスパイスを入れた専用バッグを持ち歩いていたというから、その情熱は推して知るべし。

そのこだわりは、原材料の加工からラベルにいたるまで、ひとつひとつ丁寧に「ハンドメイド」で仕上げる。材料によって粒の大きさを変えるのは当然、ミルやミキサー、石挽とマシンも材料ごとに最適なものを選ぶ上、その際のマシンの熱にまで配慮するのだという。

光の影響を受けないアルミパウチのパッケージにあるQRコードは、インスパイスウェブサイトのレシピページに繋がっている。掲載されているレシピは和洋中さまざまに100種以上。中にはキャンプで手軽に作ることができるメニューも!(https://inspice.jp/)

 

アルミパウチの中は、形状や使うタイミングごとに小分けされていて「使いやすさ」にもこだわっている。写真はチャイ(1,380)の材料。

 

チャイとは、紅茶をお湯とミルクで煮出したものにスパイスを加えたインド発祥の飲み物。日本でも最近は、カフェやペットボトル飲料、インスタントなどで手軽に飲むことができる。そんな中、インスパイスのチャイは、ホール(砕かずにまるごと使う)スパイスも配合されていて、レシピ通りに作るならば中々に手がかかる。

これには、茶道が盛んな金沢へのオマージュが含まれている。「飲むまでの経過を含めて、自分時間を楽しんでほしい」のだという。

 

 

 

名前はあえてつけない

インスパイスの商品特には名前がない。正確にいえば、「スパイスカレー」「ディッシュ」「チャイ」などカテゴリーはされているものの、カレーはシンフォニーNo14、ディッシュはシンフォニーNo15と、調香味ごとに振られたナンバーが名前代わり。

この「名前がない」ことにも、インスパイスのこだわりが凝縮している。曰く「名前をつけることで使い道を限定したくないから」だそうだ。

スパイス初心者でもイメージしやすい「カレー」シリーズも実は、カレー以外の料理にも使えるのだそうだが、「ディッシュ」シリーズはさらに名前から使う料理を固定しない。

202311月に発売されたばかりの「ディッシュシンフォニーNo.5(1,380)」。コンセプトは「多彩な胡椒の調和」。

 

実はとても簡単に作ることができるというスパイスカレー。シンフォニーNo.1(1,058)は「スパイシーなのに日本人が懐かしく感じるカレー」がテーマ。

 

ちなみにカレースパイスシリーズには、辛味のスパイスや塩分は一切含まれない。これも「スパイスカレーは辛い」という思い込みを払拭してもらうため。辛さと塩分は各自のお好みで。

 

 

数千年前からアーユルヴェーダにも使われてきた鎮静のハーブ・ベチパーをメインにした「ベチパーティ(2,400)」。リラックス効果があると言われる香りのイメージに合わせて、シンフォニーNo.1には、鎮静の色・青が美しいパタフライピーとエキナセアをブレンド。希少な国産材料にこだわった一品。

 

 

9種類のスパイス+純ココア+カカオニブ+岩塩でブレンドされた「ハイカカオとスパイスのココア(1,512)」。純ココアとスパイスの豊潤な香りとスーパーフードとしても注目されるカカオニブが配合された大人のココアだ。

ココアとチャイは、スパイスパックの購入だけでなく、店で作ったものをテイクアウトでも楽しめる。

 

 

ひがし茶屋街周辺は、歩きながらの飲食は基本禁止。テイクアウトは、通り土間で雰囲気ごと楽しむのがおすすめ。

 

 

Instagram https://www.instagram.com/inspice_kanazawa/

 

 

 

※価格はすべて税込み

 

取材日時 20231211

 

取材・文 小杉智美

 

 

 

 

店舗情報

店舗名 INSPICE KANAZAWA(インスパイス金沢)
住所 金沢市東山1丁目10-2
電話番号 080-3745-7030
営業時間 10:00~16:30
定休日 水曜