ご店主との会話も楽しい寺町のおいも専門店「いも屋café楽(tano)」

金沢のにし茶屋街から程近い、野町広小路交差点から寺町方向に徒歩5分。大通り沿いにあるおいも専門店「いも屋café楽(tano)」。人気観光スポットの忍者寺こと妙立寺からも近く、お店の向かいには、今年7月にオープンした「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」がある。加賀野菜の五郎島金時をはじめ、安納芋やシルクスイートなど人気品種のさつまいもを使用した焼きいもやオリジナルスイーツが味わえる。気さくな人柄で人気のご店主との会話を楽しみに通う常連さんも多く、楽しいひと時が過ごせるカフェだ。

オリジナリティあふれるおいもスイーツはどれも絶品!

「いも屋café楽(tano)」は店主の西川正浩さんが1人で営んでいる。

カウンター4席のみの小さなお店だが、1人でお店をやりたかった西川さんにはちょうどよい席数だという。

メニュー黒板には、どんな味なのかと食べてみたくなるようなオリジナルスイーツが楽しげに並んでいる。

店内はカウンター席のみだが、温かみがあり落ち着ける空間だ。

 

 

手作りの飾りや写真で飾られたメニュー黒板は見ているだけで楽しい。

 

 

西川さんイチオシのメニューは、「まるごと焼きいもブリュレ」(550円※大きさによって価格の前後あり)。温かいおいもにバニラアイスをサンド。その上にキャラメリゼしたカスタードがのった人気メニュー。使用しているさつまいもは「シルクスイート」。甘くしっとりなめらかな舌触りのシルクスイートとバニラアイス、カスタードが良く合い、パリパリのキャラメリゼがアクセントになっていてとても美味しい。

ボリューミーで食べ応えのあるスイーツ「まるごと焼きいもブリュレ」

 

 

さつまいものスムージー「IMOD」(450円)もおすすめだ。

五郎島金時に牛乳、オリゴ糖を加えシナモンで香りづけしてあるドリンク。金箔を散らした生クリームがトッピングされており、金沢らしさも感じられる。材料はシンプルだが実際に飲んでみると、シナモンの効かせ具合や味のバランスの良さにハッとする。

こちらのカフェのメニューはオリジナリティがあるだけでなく、味も抜群に美味しいのだ。実は西川さんは元々ホテルでフレンチシェフをしていた。そのため調理のテクニックは当然本格的であり、あの味も納得だ。その上、1杯ずつ挽き立てを出してくれる美味しいコーヒーが300円など価格も非常にリーズナブルなことに驚く。

ネーミングもユーモラスなさつまいもスムージー「IMOD

 

 

他にもおいものチップス「いもっち」(300円)やバニラソフトのコーンの中に焼きいもを角切りにしたものが入っている「いもinソフトクリーム」(450円)、焼きいもを冷凍した「冷製石焼きいも」(100/180円)などまだまだ気になるスイーツがある。

テイクアウトの人気商品「いもっち」。4つのフレーバーがある。塩味はふわふわとしたパウダー状の宮古島の雪塩を使用。

 

 

「いもinソフトクリーム」はコーンの空洞にも何か入れてお出ししたいという理由から焼きいもの角切りを入れたという。

 

 

まさに天然アイス!驚きの美味しさ「冷製石焼きいも」。ねっとりと甘く中から外皮に蜜があふれ出ている。

 

 

 

さつまいもを美味しく食べるためには熟成期間が必要

お店では常時3~4種類の焼きいもを販売している。品種はその日によって違うそうだ。品種の選び方について聞いてみると、「さつまいもの熟成度合いを見て選んでいる」とのこと。

さつまいもは収穫したばかりのものよりも日を置いた方が、しっとりとして甘味も増す。 

これが熟成させるということなのだ。収穫してから熟成するまでに最低40日はかかるという。箱買いしたさつまいもの中から1つ、実際に西川さんが食べてみて熟成度合いを確認している。

 

焼きいもで人気の品種は、ねっとりとした食感と高い糖度が特長の「安納芋」や前述の「シルクスイート」など甘味の強いものだという。「安納芋が一番甘いと思われる方が多いのですが、実は「紅はるか」が一番糖度が高い。焼き方次第では断然紅はるかが甘くなります」と西川さん。外皮がクリーム色の「栗こがね」は石川県志賀町で獲れる希少な品種。食感も味も栗そのものなのだとか。いろいろな品種の焼きいもを食べ比べできるのもおいも専門店ならではの楽しみ方だ。

この日は左から紅はるか、栗こがね、五郎島金時、シルクスイートの4種類の焼きいもが並んでいた。焼き上がるまでに2時間かかる。

 

 

 

「楽」と書いて「たの」。お客さんに楽しい時間を過ごしていただきたい

前述したとおり、西川さんは元々ホテルでフレンチシェフをされていた。その後、職場を転々としながらシェフを続けていたが、最後に勤務していたレストランが会社の経営方針が変わり、閉鎖されることになったという。「次の仕事をどうしようかと考えている時に、知り合いの方から寺町の空き店舗でお店をやってみないかと誘われました。物件を見ると小さなお店で1人でできるなぁと思った。人を雇わず1人でやれるならやりたいと思って決心しました。カウンターが残っていたので、カフェでいいかな。寺町は観光客の方が多いので、金沢のものが提供できたらと思って五郎島金時を使おうと思いました」と西川さん。

 

「楽」と書いて「たの」と読むお店の名前について聞いてみると、フレンチシェフ時代に行ったお店のサービスマンに言われたことに由来しているという。「お店の若いスタッフみんなで食事に行った時、まだお互い慣れていないこともあり、食事中何も会話がなかったんです。するとそのお店のサービスマンに『今日はみんなで食事をすることが分かっているのに、どうして話題の1つや2つ考えてこなかったのですか。食事っておかしく楽しくしないと栄養にならないよ』と言われました。食べ物ってやっぱりその通りだなと思って。どうせお店をするんだったらおかしく楽しくやりたいなと思って『楽(たの)』という名前にしました」と若き日のエピソードと共に名前の由来を語ってくれた。

「カウンターしかないところで気まずいのはお客さんも緊張するだろうし、見てる自分も緊張しちゃうのでおかしく楽しくワイワイやろうと。お客さんもラクでいいかなと思って」とユーモアを交えながら話す西川さんにこちらもついつい笑ってしまう。

陽気な笑顔と気さくな人柄で人気の店主・西川正浩さん。

 

 

西川さん手作りの遊び心が感じられる看板。定休日の「とつぜん」が西川さんらしい。

 

本当に不思議なのだが、1人でお店に行っても全く気まずくなく、落ち着けて会話が弾む。これは偏に西川さんの気さくで飾らない人柄のおかげだ。気を張らずオープンに話して下さるので、こちらもリラックスして自然と話せてしまう。そんな西川さんとの会話を楽しみに通う常連さんも多い。お店を利用した観光客の方の感想にも西川さんの人柄について書いている方がとても多い。このお店の魅力は、美味しいおいもスイーツと店主の西川さんご自身なのだ。取材中も常連さんも交えて笑いが絶えず本当に楽しかった。「お客さんと近い距離で、こういうスタイルで1人でのんびりやっていきたい。しゃべって楽しい時を過ごしていただきたい」と満面の笑みで話す西川さん。

美味しいおいもスイーツを食べながら、穏やかな楽しいひと時が過ごせる「いも屋café楽(tano)」。寺町に行った際にはぜひ訪れてみてほしい。

 

 

 

 

※価格はすべて税込

 

 

取材日時 201911月7日

 

 

取材・文 岡崎真由美

 

 

店舗情報

店舗名 いも屋café楽(tano)
住所 金沢市寺町5-5-10
電話番号 090-9448-0240
営業時間 10:00~18:00
定休日 火曜、不定休