金沢でジョージア料理が堪能できるビストロ Bistro pas a pas(ビストロパザパ)
金沢市柿木畠にある「Bistro pas a pas(ビストロパザパ)」は、日本でも数軒しかないジョージア料理が堪能できるビストロ。ジョージア料理は日本人の味覚にもよく合い、「シュクメルリ」は近年日本でも人気。専門はフレンチの店主が作るこだわりのビストロ料理も充実しており、ランチ、ディナーともに楽しめる。テイクアウトや宅配商品の販売も行っている。
店名の「pas a pas」はフランス語で「一歩一歩」。お店は金沢市役所の裏手にあり、21世紀美術館からも近い。
店内はカウンター席とテーブル席があり、ブラウンを基調とした落ち着いたインテリア
「美食の宝庫」ジョージア料理とは?こだわりのビストロ料理も充実!
ジョージアと聞いてアメリカのジョージア州を思い浮かべる方も多いかもしれないが、こちらビストロパザパのジョージア料理とは、東ヨーロッパにある共和制国家・ジョージアの料理。ジョージアは黒海に面し、北はロシア、南はトルコ、アルメニアなどと隣接している。
店舗の外に掲げられたジョージアの国旗。ジョージアの方は、宴会が大好き。陽気で人情に厚い人が多く、日常的に自家製ワインを楽しんでいるそう。
ジョージア料理の特長を店主の前田洋昭さんに伺った。「ジョージアはシルクロードに面し、ヨーロッパの真ん中に位置していますので、ヨーロッパの料理もあればシルクロードの流れに沿ったアジア系の料理もあります。乳製品と香辛料、香草をよく使う料理で、特産物のクルミを使った料理も多いです」。
たしかに日本でも人気の「シュクメルリ」はヨーロッパ、「ヒンカリ(大きな水餃子のようなもの)」はアジア料理に近い。
日本人の味覚にもよく合い、「美食の宝庫」と言われるジョージア料理。
ジョージアの代表的な料理2品をご紹介しよう。
鶏肉をニンニクとヨーグルト、サワークリームで煮込んだ「シュクメルリ(2,120円)」。大手チェーン店のメニューで一躍人気となり、こちらを目当てにお店を訪れる人も多い。
ジョージアの国民食と言われる「ハチャプリ」は、インドのナンのようなモチモチとした食感のチーズが入ったパン。地方によってチーズだけのもの、肉が入ったものなど特長がある。
「アジャルリ(1,680円)」はアジャルリ地方のハチャプリ。舟型にしたパンにチーズとバターをたっぷりと入れて卵を落とし、チーズフォンデュのように付けながら食べる。おつまみにも最適!
ジョージア料理のメニューは他にもたくさんあり、シュクメルリを目当てに来店した客もメニューの多さに驚くという。1皿2~3人前のものが多いので、いろいろ食べてみたい方は2~3人で来店するのがおすすめだ。
専門がフレンチの店主が作るビストロ料理も充実している。季節のメニューを取り入れ、素材にもこだわる。時に破格のお値段で提供している料理もある。
例えば、「フランス・シストロン産 子羊のロースト」は、フランスで一番高級な羊肉を使用。「お安く出しています。個人店なので自分が使いたいものを使えばいいので」と前田さん。
おいしいものをリーズナブルに提供したいという前田さんの想いが伝わる。
「フランス・シストロン産 子羊のロースト(2~3人前 4,980円)」。写真は1人前。東京では倍以上の価格になるという。
「甘鯛のポワレ ブールブランソース(2人前 2,390円~)」。カリッと焼いた甘鯛をお酢とバターとクリームのソースでいただく。魚料理は季節や仕入れによって変わる。
ジョージア料理を知りたいならジョージアランチプレートがおすすめ!
ジョージア料理を知りたいという方におすすめなのが「ジョージア ランチプレート」。
メインの肉料理3種に加え、ジョージアを代表するくるみを使った野菜料理「プハリ」や「バドリジャーニ」などのプレートにハチャプリ、デザートの付いたランチ。
羊のチャホフビリなど煮込み料理には、お店で独自に配合したジョージアのミックススパイス「フメリ・スネリ(ハッカのような風味)」が使われており、ジョージアならではの味を堪能できる。
「ジョージア ランチプレート(2,000円)」。1日限定4~6食なので予約がおすすめ。どの料理もワインとの相性が抜群!
ビストロ料理のランチ(1,100円~)も5種類あり、サラダ、バゲットかバターライス(おかわり・大盛り無料)、コーヒーが付いている。前菜、デザート、スープはお好みで付けることもできる。
世界的なナチュラルワインブームで大人気!ジョージアのオレンジワイン
ワイン発祥の地と言われるジョージア。「ジョージアワインの一番の特長は、ジョージア固有品種の葡萄で作られているところ。8000年前から行われている、地中に埋めた壺で発酵させる作り方はクヴェヴリ製法と呼ばれ、世界無形文化遺産に認定されています」と前田さん。
中でも、壺で白葡萄の果汁と皮や種を一緒に発酵させたワインは薄いオレンジ色をしており「オレンジワイン」と呼ばれている。現在の世界的なナチュラルワインブームの中で、クヴェヴリ製法が脚光を浴び、オレンジワインは大人気だ。
ジョージアのオレンジワイン。作り方によって同じ葡萄の品種でも味が全く異なるという。
「オレンジワインは総じて飲みやすいワイン。酸味はあまりなくてお茶のような軽い渋みがあります」と前田さん。ジョージア料理と一緒にぜひ味わってみてほしい。
ジョージアの日本大使館では苦い経験も。帰国後にジョージア料理を再現しようと試行錯誤を重ねる
前田さんは元々老舗のフランス料理店に勤務していたが、閉店をきっかけにジョージアにある日本大使館に勤めることになったそうだ。大使館では、各国の大使など来客に振る舞う日本料理を作っていたが、求められた仕事が出来ず4カ月で帰国することに。その時、当時の大使に「もしも自分のお店を出す時が来たら、片隅にジョージア料理を置いて、国を紹介してあげてほしい」と言われたという。
「それがあったから。自分でも面白いと思ったし、自分が失敗したことを忘れないためにもジョージア料理を出そうと思った」と前田さん。
店主の前田洋昭さん。お店のインスタグラムの文面からもユーモアに溢れ、周囲の方々に愛されているお人柄が感じられる。
それが約12年前の出来事だ。帰国後、金沢のフランス料理店で6年間修業し直し、その後友人のスペイン料理店で2年働いた。その一方でいつか自分のお店を出す時にジョージア料理を出そうとジョージア料理の再現を試行錯誤し続けた。
「ジョージア料理は自分の舌で覚えていて、帰ってきてから何が使われているのかを調べて、日本にあるもので代用できないかというのを8年ぐらいずっとやっていました」と前田さん。現在お店に並ぶジョージア料理は、前田さんの長年の試行錯誤の末に完成した味なのだ。
開店からもうすぐ3年になるそうだが、今年に入り日本のジョージア大使館からこちらのお店が認知され、大使館から仕事を紹介されたり、タマダ(ジョージアの宴会リーダー)に任命されたりと交流があるという。
「このような交流がしたかった。今後もっとやっていきたい」と力強く話す前田さん。
ジョージアでかけられた大使の言葉を胸に、前田さんはこれからもジョージア料理を通してジョージアの魅力を伝えていく。
在日ジョージア大使館の推薦で、ジョージア料理が食べられるお店として紹介された「地球の歩き方BOOKS 世界のグルメ図鑑」。
ジョージアの国を知ってほしい ジョージア料理もビストロ料理も好きなものを楽しんで
最後に前田さんにお客様へのメッセージをいただいた。
「ジョージアの国を知っていただきたい。ジョージアに興味がある方やビストロ料理が好きな方に気軽にお店を利用していただければ。ジョージア料理もビストロ料理も単品で出しているので、好きなものを食べてもらって、お店の使い方をお客さんで決めてもらえたら一番うれしいです」。
お弁当、おつまみ、オードブルなどテイクアウト商品も充実している。メニューはお店のインスタグラムから確認でき、DMや電話で注文することができる。
お店のインスタグラム @bistro_pas_a_pas
宅配商品「ジョージア料理7品セット(3~4人前 送料込11,000円)」も販売。冷凍で全国発送可能。人気のシュクメルリをはじめ、ハチャプリ、大きな水餃子のような牛肉のヒンカリなどを家庭で楽しむことができる。
※価格はすべて税込
取材日時 2021年8月16日
取材・文 岡崎真由美
店舗情報
店舗名 | Bistro pas a pas (ビストロパザパ) |
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住所 | 金沢市柿木畠3-8 |
電話番号 | 076-255-1866 |
営業時間 | ランチ11:30~14:00L.O ディナー18:00~22:30L.O |
定休日 | 水曜 |