金沢・主計町茶屋街とひがし茶屋街…泉鏡花・徳田秋聲の文学を追う
金沢三文豪の泉鏡花と徳田秋聲は、ひがし茶屋街・主計町茶屋街で生まれ育ちました。浅野川沿いの「秋聲のみち」から「徳田秋聲生家跡」を回って「ひがし茶屋街」へ。町家建築の「カフェ&ギャラリー三味」でちょっと休憩。そして、「鏡花通り」から「久保市乙剣宮」をお参りして「暗がり坂」を抜け「主計町茶屋街」へとめぐります。
昼からスタートafternoon start!
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【13:00】JRバス/北鉄・「橋場町」バス停からスタート!
ひがし茶屋街・主計町茶屋街の最寄りバス停は「橋場町」になります。金沢駅から15分。ひがし茶屋街行きのバスに乗りましょう。なお、橋場町バス停は路線によって停車場所が異なります。この場所以外で下車するバスもあるので注意。
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バス停目の前の「浅野川大橋」を渡ると、浅野川に沿って「秋聲のみち」が卯辰山の方まで続いています。 ちなみに、対岸は「鏡花のみち」。 浅野川のせせらぎを感じながら、のんびり歩いてみましょう。
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左手にはひがし茶屋街が広がっています。右手側は浅野川がゆったりと流れています。 天気の良い日は浅野川の川岸まで降りて歩くこともできますよ。 豊かな自然を感じながらお散歩が楽しめます。途中に公園やベンチもあるので、浅野川を眺めながら自然を感じるのもおすすめ。
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【13:10】『光を追うて』徳田秋聲の旧居跡と浅野川
徳田秋聲が幼少期に過ごしていた住まいの跡地です。「秋聲のみち」の途中にあります。 彼はここから浅野川沿いに歩いていって小学校に通っていました。作品「光を追うて」の中にも、当時住んでいた住居や生活ぶりが描かれています。
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徳田秋声作品「光を追うて」の中には「(家の前の)路地裏に梅の大木がある」と書かれているので探してみたのですが……それっぽい梅の木は見つからず。残念…! 代わりにと言ってはなんですが、隣に公園があります。写真右端はひがし茶屋街に繋がっています。
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旧居跡の目の前は、浅野川。ここからすぐ、浅野川の川岸まで行くことができます。 (河川増水時などは目の前の門を閉めることがあります) 木陰に入って浅野川を眺めつつ、秋聲の小説を読むのも、読書好きにはたまりませんね。
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住居跡から更に山側へ進むと、梅ノ橋のたもとに「徳田秋聲記念館」があります。 徳田秋聲作品の世界を和紙人形で再現したり、後年住まいとした本郷の書斎を再現した部屋など、徳田秋聲の世界を詳しく知りたい方は是非お立ち寄りを。 「徳田秋聲記念館」 開館時間 9:30~17:00 休館日 12月29日~1月3日・展示替え期間 入館料 一般300円、高校生以下無料 https://www.kanazawa-museum.jp/shusei/
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【13:50】江戸時代から残る町家カフェ「三味」でクールダウン
江戸時代に建てられ、明治時代には質屋として使われていた建物を利用したカフェです。ひがし茶屋街のメインストリートから一本入った通りにあって、静かな時間を過ごせます。
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店内は広く、大きな町家です。建てられた当時のままの階段や蔵が残されていました。お座敷席の他にテーブル席もあるので、人数や好みに合わせて利用できますね。 今回は奥のお座敷の部屋で一休みしました。畳と調度品の雰囲気がいい感じ。
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100%「ブルーベリーソーダ」650円(税込)をチョイス。プラス350円(税込)でスイーツセットも選べます。今回は「チーズケーキ」をチョイス。 ブルーベリーソーダは夏季限定。爽やかな甘酸っぱさがとても心地良いです。酸っぱいのが苦手な方は、ブルーベリーミルクやコーヒー、抹茶ミルクなどもおすすめです。
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こちらはスイーツセットの「チーズケーキ」。ケーキはベイクドタイプで優しい甘さ。 加賀野菜の砂糖漬けと小さな草だんごが、口直しにぴったりです。 砂糖漬けの奥にあるのは、ココアクッキー。すべてが異なる甘さで飽きません。
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座敷土間にいたカエルたち。 この奥には蔵があり、昨年までは金沢の若手伝統工芸士の方がアトリエとして借りていたそうで、このカエルはその方の作品だそうです。 関節が全て動く珍しい細工物。毎日ポーズが変わる、遊び心のあるおもてなし。
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2階にはレンタルギャラリーがあります。10畳と8畳のお部屋があり、ギャラリーから撮影会まで可能だそうです。本をたくさん持ち込んで読書会したーい! ■営業時間 10:00~17:00 ■定休日 毎週水曜日
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【14:30】泉鏡花の幼き日の思い出・「久保市乙剣宮」
三味から徒歩10分、浅野川大橋を渡って主計町方面へ歩くと「久保市乙剣宮(くぼいちおとつるぎぐう)」があります。平安時代創建と言われており、江戸時代には商売繁盛/発展の神様として、特に近江町~主計町エリアにおいて信仰を集めておりました。泉鏡花の生家の斜め向かいにあります。
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三昧からひがし茶屋街を抜け、浅野川大橋まで戻ってきました。 橋から眺める川面と、その向こうにある茶屋街の風景が美しく、お気に入りの場所です。 今度は、ひがし茶屋街を浅野川を挟んで斜め対岸にある、主計町方面へ向かいましょう。
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うさぎのマークと「鏡花通り」の案内板。 泉鏡花は、向かい干支(生まれ干支から数えて7つ目の干支)であるウサギがお守りであると母親に教えられたため、ウサギのグッズをたくさん集めていました。そのため、鏡花といえばウサギとなったのです。 鏡花通りと、このあと行く主計町茶屋街のウサギの多さは必見です。
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上り坂になっている鏡花通りをしばらく歩くと、左側に鏡花の生家跡があります。 現在はその場所に「泉鏡花記念館」が建てられています。 泉鏡花について詳しく知りたい方は、こちらもオススメのスポットです。 「泉鏡花記念館」 開館時間 9:30~17:00 休館日 12月29日~1月3日・展示替え期間 入館料 大人300円・高校生以下無料 https://www.kanazawa-museum.jp/kyoka/
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泉鏡花記念館の斜め向かいには、先ほど紹介した「久保市乙剣宮」があります。 家の前ということで、幼い鏡花はこの境内で遊ぶことが多かったそうです。 現在はその境内が駐車場になっているので、子どもたちが遊ぶのは難しそうです。
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久保市乙剣宮の手水の傍らには、泉鏡花が詠んだ俳句が残されています。 ーうつくしや 鶯あけの明星にー この句が元になり、名付けられた坂や楽曲があったりします。
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【14:40】『照葉狂言』鏡花の世界を追体験・「暗がり坂」と「主計町茶屋街」
泉鏡花の小説『照葉狂言』にも登場する「暗がり坂」は、久保市乙剣宮と主計町茶屋街を結ぶ裏路地にあります。その昔、主計町の花街へ行く若者たちが、裏からこっそり行くために使われた道とのこと。
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久保市乙剣宮の右手奥、裏口のような小道の入口があります。 ここが「暗がり坂」の入口です。 あまりに路地裏っぽく細い道なので、通っていいのか少し躊躇したのはここだけの話。
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坂と呼ばれていますが、階段状になっています。階段の間隔が広いので、慣れていない人は歩きにくいかもしれません。実は金沢は、坂の多い町としても知られています。 昼間なのに、日陰の小道です。夕方になると、本当に「暗い坂」になっていたでしょうね。
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暗がり坂を降りきったところから、上を見上げます。こうやって見ると、結構急な階段ですね。 坂を下りつつ、時々振り返ってみると、なんだか下界へ降りていくような気分を体感できますよ。 なお、「暗がり坂」という名前が彫られた石碑は、坂を降りきったところにあります。
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暗がり坂を降りると、路地裏の中に迷い込みます。 人が1~2人、横に並ぶのがやっとの路地を抜けていきます。 路地裏と言うか、ここを観光客は通っていいのだろうか……と不安になる程度に狭い路地です。誰かの家の中に入っていったらどうしよう。
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突然、目の前がひらけました。 ここが、主計町茶屋街です。 静かでしっとりとした大人の茶屋街を堪能できます。
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主計町茶屋街の奥にある緑地。 ここに、泉鏡花の『化鳥』の文学碑があります。ちょうど目の前に中の橋があり、『化鳥』はこのあたりに住む母子の幻想的な物語です。 浅野川を眺めながら木陰で休憩するのも良いですし、近くにはベンチもあるのでそちらで休憩することも可能です。
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【15:20】北鉄・「橋場町」バス停ゴール!
降りたバス停から更に兼六園方面へ100mほど歩いたところにある「橋場町」バス停でゴール。今回のルートは浅野川大橋を中心に8の字を描くように歩いています。ひがし茶屋街と主計町茶屋街を歩くだけなら1時間程度で回れます。金沢三文豪である泉鏡花、徳田秋聲の足跡をじっくりとたどりたい人は、1日掛けて堪能するのもおすすめです。 ※このコースは2019年8月1日に行ってきました
ゴールFinish!