金沢の中心街でメキシコを堪能する

日本から見ると地球の真裏に位置するメキシコ。カリブ海やサボテン、どこまでも広がる青い空。位置だけではなくイメージまで金沢とは真逆のように思えるけれど、古代遺跡や古くから続く街並みや文化を大切にする風習など、意外な共通点もある。

そんなメキシコを金沢の中心街で堪能できるのが武蔵ヶ辻にある「マルガリータ」。

店内に一歩入れば、そこはもうメキシコ！ メキシコのお祭りには欠かせない切り絵のパペルピカドやメキシコ雑貨などがカラフルに賑々しく迎えてくれる。

天井から、万国旗のようにつり下げられているのがパペルピカド。店内をまさに祭りのような賑やかさで彩っている。

店名の「マルガリータ」はテキーラベースの有名なカクテルの名前としても有名だが、オーナーの佐々木茂さんに尋ねると、さらに奥が深かった。

「マルガリータ」はキク科の可憐な小花「マーガレット」のこと。また、メキシコでは女の子の名前としてもとてもポピュラーなのだとか。

「スペイン語圏の人ならみんな知ってる女性名でカクテルとしても有名だから」と命名したのは、マルガリータ開店以前から親交のあったメキシコ人女性シンガーなのだそうだ。「それくらいみんなに愛される店になるよ」といった思いが込められているのだろうか。気さくでフレンドリーなオーナーの人柄がしのばれるエピソードだ。

マルガリータの壁には、命名したシンガーからプレゼントされた彼女のドレスが、店内を見守るように飾られている。

見ているだけでも心が浮き立つような美しく華やかなドレスは、マルガリータの守り神のようにも見える。

メキシコ料理といえばまずはトルティーヤ

タコスやトルティーヤ、ブリトーにチリコンカン。どれけも代表的なメキシコ料理だ。名前は聞いたことがあるけれど、どんな料理かイメージできないという人もいるかもしれないが、メキシコ料理は彩りも鮮やかなパワーカラーフードだ。

トウモロコシの粉で作ったトルティーヤでお好みの具を巻くタコス。日本の手巻き寿司に似ていて楽しい！

トルティーヤとは、トウモロコシの粉で作った薄焼きパンでメキシコの主食。

マルガリータのトルティーヤは、本場メキシコのレシピをベースに日本人の口に合うように配合したオリジナルレシピで、もちもち感が自慢だ。

このトルティーヤに好みの具を挟んだものが有名なメキシコ料理のタコス。トルティーヤを8等分して油で揚げたものがトトポス。トルティーヤチップスの名称でスナック菓子としても親しまれている。トトポスにチーズを乗せて焼き、さらに好きな具材をトッピングしたものはナチョスと呼ばれる。

マルガリータでは、トルティーヤの間にチーズを挟んでかりっと焼き上げたケサディーヤ(700円～)も人気。

なんだか複雑な気もするが、それほどトルティーヤはメキシコ料理には欠かせない存在だということなのだろう。

絶対に外せないのは食べ応えも十分な肉料理

人気のアルパストール。チーズがらめ、ハバネロ(激辛)、パクチーたっぷりの追加オプションも選べる

メキシコ料理は、豪快な肉料理も魅力のひとつ。

なかでもマルガリータの看板メニューにあげられるのが特製のタレでつけ込んだ豚肉を何枚も重ね、専用のマシンで豪快に焼き上げるアルパストール(100g 530円、200g 900円、500g 1,860円)。

タレはメキシコ直伝だから現地の味が楽しめる。おすすめはライムとパクチーをたっぷり添える食べ方。メキシコでは、肉料理とライムは切っても切り離せない間柄なのだとか。

牛ハラミのアラチェラ。単品は1,380円、アラチェラはじめメキシコ料理を味わい尽くすアラチェラコースは120分飲み放題付きで4,500円

もうひとつ、マルガリータを訪れたらぜひ食べてもらいたい肉料理が牛ハラミのステーキ・アラチェラ。自家製の特製スパイスに半日漬け込んだ深い味わいと、驚くほどのジューシーさがたまらない一品だ。

付け合わせのハラペーニョと一緒に食べれば、汗が噴き出る刺激も一緒に味わえる。

このほか、メキシコではメジャーなウチワサボテンを使ったサラダなど、他では味わえない本格的なメキシコ料理が豊富にそろっている。

日本ではなじみの薄いサボテンだが、食感はめかぶに似たコリコリ感、淡い酸味で和風の味付けともよくなじむ。

マルガリータはドリンクメニューも豊富。メキシコ発祥の酒・テキーラは、特に充実のラインナップ。というのも、テキーラのソムリエ的資格である「テキーラ・マエストロ」を佐々木オーナーが所持しているから。

アルコールに強い人も、それほど強くない人も「テキーラは度数が高いから」と敬遠せず、好みを伝えればそれぞれに合わせた提案をしてくれる。

テキーラ・マエストロの証であるバッジ。主宰する日本テキーラ協会は本国メキシコのテキーラ規制委員会(CRT)から認められている団体なのだとか。

マルガリータの豊富なお酒が並ぶ棚。メキシコらしく、彩りも華やかでおしゃれ。

楽しいことが大好きだという佐々木オーナーをはじめとするマルガリータのスタッフ。店では季節に合わせて様々なイベントを開いたり、記念日などに来店するゲストの要望に応じたサプライズなども行ってくれる。

「お客様から美味しいと同じくらい楽しいと言っていただける。それがうれしいんです」。メキシコの日差しのように明るいマルガリータ最大のコンセプトなのだそうだ。

日本で言うお盆にあたる「死者の日」をイメージしたディスプレイ。昨年公開の劇場版アニメでもテーマになっていたメキシコ伝統のお祭りだ。

※価格はすべて税込

取材日時2019年10月21日

取材・文　小杉智美