シェリー酒と中華のペアリングを楽しむ「西華房」
すっきりとスタイリッシュな雰囲気で、ショットバーのようにも見える「西華房」は、オリジナリティにあふれる中華料理のアラカルトとおいしいお酒が味わえると評判の店。金沢市の中心・香林坊交差点から徒歩1分という好立地もうれしい。
カウンター席に座って本格四川料理を五感で感じる
辰巳用水と鞍月用水、2つの用水が流れる柿木畠は、個性的な飲食店の多い商店街。新旧の店が入り交じり、独特の雰囲気を醸している界隈だ。
そんな柿木畠の入り口近くにある本格四川料理の「西華房」は、間口が小さめで奥に長いいわゆるうなぎの寝床のような店。カウンターを中心に、奥にはテーブル席が3つ。小ぢんまりしていながらも、1人でもグループでも、気分やシチュエーションに応じて訪れられるのもいい。
スタイリッシュな店内はおしゃれなバーのよう
カウンターの向こうは、中華料理店には珍しいオープンキッチン。
東京や金沢の名店で腕を磨いてきたシェフの巧みな手さばきや、鍋が奏でる小気味いい音、調味料とスパイスの香りをダイレクトに感じながら料理を待つのはきっと至福の時間になるはず。
オーナーシェフとして腕を振るう浦山隼人さん
シェフ自慢の4つのスペシャリテ
オーナーシェフおすすめのスペシャリテは4つ。
1皿目は「よだれ鶏(930円)」。
西華房のよだれ鶏は骨付き肉。低温でじっくりと火を通すため、身の縮みが少なくふっくらジューシーな仕上がりに。ここに十数種類の調味料とスパイスを合わせ、麻辣を効かせたタレをかけていただく。
柔らかい鶏肉の旨味とスパイシーなタレが口の中で絡み合う!
2皿目は「四川麻婆堅豆腐(1,280円)」。
四川から取り寄せた花椒や唐辛子、豆板醤で整えた麻婆豆腐は、すっきりとした辛味としびれが食欲をそそる。主役の豆腐は、地元白山地域の名産 堅豆腐を使っている。どっしりした食べごたえに加え、橋で食べられる手軽さもうれしい。
お酒はもちろんご飯も進む四川麻婆堅豆腐
3皿目は「クリームチーズ海老マヨ(1,480円)」。
大振りのエビはぷりっぷり、これをクリームチーズが入ったマヨソースで和えたもので、コクとまろやかさが人気の一品。特に女性客はほとんどがオーダーするという。
大海老の歯ごたえもたまらない一皿
4皿目は「黒酢すぶた(1,280円)」。
たけのこや人参、ピーマンなどが入った一般的によくみるものと違い、西華房は肉のみのシンプルな酢豚。外はカリカリ、内側は柔らかく揚がった豚肉に、コクのある黒酢が芳醇に香るスペシャル中のスペシャルだ。
つややかな甘酢あんは、酸味と甘味のバランスが絶妙
ほかにも能登豚を7種の香辛料で柔らかく煮込んだ「能登豚スペアリブのスパイシー炒め(2,080円)」や締めの一杯にぴったりな自家製ラー油の「担々麺(950円)」など、素材からこだわったメニューが豊富にそろっている。
山椒が効いた肉味噌は、途中で溶いて味変も楽しめる
香り高くコク深い中華はシェリー酒と合わせる
西華房のコンセプトは「お酒と楽しむための中華」。中でも豊富にそろえているのがシェリー酒。
中国酒をはじめ、さまざまなお酒がある中、なぜシェリー酒なのかとたずねると「中華料理の中でも四川はしっかりした味の料理が多いため、それに合わせるお酒も風味の強いものが合うと思った」のだそう。
食前酒として知られるシェリー酒は、実は白ワインの一種。ワインを醸造する際に、高アルコールの蒸留酒を加えて作ることで、深いコクと個性が生まれる。
ちなみに、高アルコールの蒸留酒を加えて作るワインを「酒精強化ワイン」と呼ぶ。シェリー酒は、ポートワイン、マデラワインと並ぶ「世界三大酒精強化ワイン」のひとつなのだ。
辛口から梅酒にも似た極甘口まで、芳醇な香りや多岐にわたる個性は、まさに四川料理との相性がぴったりなのだとか。
カウンターの正面の黒板には、シェリー酒のボトルが貼り付けられていて、それぞれの味わいやおすすめの料理が書き込まれている。
おすすめだけでなく、店主に好みを伝えればぴったりの一本を選んでもらえる
シェリー酒とのマリアージュは店名にも反映されている。
「西」は、シェリー酒のふるさとスペインの漢字表記、「華」は中華、これに小さな店の意味でも使われる「房」を合わせて「西華房」。
なんとも潔い命名だ。
Instagram : https://www.instagram.com/saikaboh/
※価格はすべて税込み
取材日時 2023年1月16日
取材・文 小杉智美
店舗情報
店舗名 | 西華房 |
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住所 | 金沢市片町1-1-22 |
電話番号 | 080-5855-4418 |
営業時間 | 18:00~22:00(土曜は17:00~、LO21:30) |
定休日 | 日曜(祝前日は営業) |